再評価中?陸上自衛隊の83式地雷敷設装置が果たす役割

83式地雷敷設装置 陸上自衛隊
この記事は約3分で読めます。

役割

ウクライナ侵攻で再注目

2022年2月下旬、ロシアはウクライナに多方面から攻め込み、首都の早期制圧を目指したものの、装甲部隊が想定したような活躍ができず、いわゆる「特別軍事作戦」は失敗に終わりました。

その後、熾烈な砲兵戦・塹壕戦を繰り広げるなか、戦場では無数の自爆ドローンが飛び交い、「ドローンを使った第一次世界大戦」と評されています。

しかし、ドローンの陰に隠れながら、同じぐらい敵の進撃を防ぎ、再評価されているのが「地雷」です。

昔からある兵器にもかかわらず、いまなお地雷の効果と厄介さは変わらず、その有効性が改めて証明されました。

むしろ、双方が航空優勢を確保できず、大量のドローンが飛び交う限り、余計に地雷除去が難しくなりました。なぜなら、相手の地雷を除去しようとすれば、すぐに自爆ドローンが突っ込み、作業を妨害してくるからです。

だからこそ、両者とも前線に地雷原を敷き、ドローンと火砲と連携させながら、効果的な防衛線を構築しました。

特に対戦車地雷の存在は大きく、地雷で装甲部隊の足が止まると、自爆ドローンと火砲で狙い撃ち、敵の前進を阻んできました。

地雷原にドローンと火砲を加えた、複合的な防衛線を突破できないからこそ、ロシア自慢の戦車部隊は活躍できず、ウクライナの反攻作戦も失敗しました。

コンベアで次々と設置

現代戦における地雷の再評価を受けて、陸上自衛隊では地雷除去装備とともに、対戦車地雷の敷設装置が再注目されています。

それが「83式地雷敷設装置」であって、施設科が運用する工兵車両です。

  • 基本性能:83式地雷敷設装置
重 量 2.2t
全 長 5m
全 幅 2.4m
全 高 2.4m
敷設能力 対戦車地雷:300個/1時間
価 格 5,000万円(推測)

83式地雷敷設装置は名前のとおり、戦場で地雷を置く特殊装備ですが、日本は禁止条約(オタワ条約)に基づいて、対人地雷を保有していません。

そのため、対戦車地雷しか敷設できないものの、83式は見た目の割には能力が高く、1時間で300個以上を設置できます。

地面を掘り起こしながら、ベルトコンベアで次々と地雷を置き、そのまま埋め戻す仕組みです。このとき、セットされた設定に基づいて、自動的に信管を調整するほか、設置間隔を3段階から選べます。

83式地雷敷設装置出典:陸上自衛隊

一方、装置そのものは自走能力がなく、トラックなどに引っ張ってもらうため、地雷は牽引車両の荷台に積んでおき、コンベア経由で供給・敷設します。

短期間で地雷原を構築できる分、複雑な機械構成になってしまい、価格は5,000万円と推測されます。あまりに希少な機械だからか、関連部品も生産コストが高く、維持管理に苦労しているそうです。

それでも、対戦車地雷は現代地上戦に欠かせず、日本では沿岸防衛にも役立ち、上陸を阻止・妨害する有効な手段でしょう。日本に本格侵攻する場合、上陸に適した場所は限られており、そこに地雷を敷設しておけば、防衛上には有利に働きます。

したがって、83式の運用は今後しばらくは続き、その役割が再評価されています。

地雷原を突破!24式水際障害処理装置の役割と性能について
94式水際地雷敷設装置の逆 陸上自衛隊は敵が上陸してきた場合、なるべく沿岸部での阻止・撃退を図り、それ以上の侵攻を断念させます。いわゆる水際防衛を重視...

コメント

タイトルとURLをコピーしました