アジア最強?中国の南昌級「055型」駆逐艦の実力について

中国
この記事は約5分で読めます。

最新の中華イージス

中国海軍は2000年代から近代化に取り組み、イージス艦や空母を国産化してきました。中華イージスに限っても、改良を重ねながら量産が進み、その建造数は50隻を超えました。

そんな中華イージスのうち、「南昌級(055型)」は最新型にあたり、「アジア最強の軍艦」といわれています。

  • 基本性能:南昌級(055型)駆逐艦
排水量 11,000t(基準)
全 長 180m
全 幅 20m
乗 員 約300名
速 力 30ノット(時速56km)
航続距離 約9,300km
兵 装 ・130mm砲×1
・30mm CIWS×1
・垂直発射基×112
長距離対空ミサイル
中距離対空ミサイル
対艦巡航ミサイル
対艦弾道ミサイル
対地巡航ミサイル
対潜ロケット
・24連装SAM発射機×1
・対潜短魚雷×6
・デコイ発射機など
艦載機 哨戒ヘリなど×2
建造費 約1,450億円

まず、055型は駆逐艦といえども、基準排水量は1万1,000トンを超えており、もはや巡洋艦に匹敵する規模です。実際にNATOでは「レンハイ型巡洋艦」と呼び、アメリカもミサイル巡洋艦として扱っています。

そのアメリカの「アーレイ・バーク級」と比べても、約1.2倍の大きさと発射装置(VLS)を持ち、将来のアップグレードに備えて、高い拡張性を確保しました。

設計面ではステルス性の強化を狙い、レーダー反射面積を減らすとともに、水中雑音や赤外線の放射も抑えています。

その結果、1万トン超えの船体にもかかわらず、良好なステルス性を誇り、溶接加工のデジタル化、平面設計の多用で量産性も向上しました。

2020年から配備が始まり、すでに10隻が就役しているなか、残り4隻の建造も順調に進み、最終的には16隻を建造予定です。すなわち、055型だけで日本のイージス保有数を上回り、中国海軍の戦力をさらに押し上げます。

充実したシステムと兵装

初代・中華イージスの「蘭州級」、続く「昆明級」で蓄えた経験・技術を注ぎ込み、ひとつの集大成として仕上がりました。

それまでの中華イージスと違って、新たにデュアルバンドレーダーを使い、異なる周波数帯(Sバンド・Xバンド)を統合運用しながら、それぞれの特性を使い分けられます。

たとえば、Sバンドで遠距離の空中目標を、Xバンドで低空の小型目標を追い、探知精度を引き上げました。同時に捜索範囲は約60%も伸び、ステルス機の探知能力も高めたため、最新の脅威にも対抗できるそうです。

中国独自のイージス・システムとはいえ、広範囲の目標探知・追尾に加えて、複数の目標に同時対処できます。112セルものVLSがあるうえ、それぞれが西側のMk.41より大きいため、ミサイル搭載数は日米のイージス艦を上回るそうです。

このVLSは汎用性が高く、対空・対艦・対潜・対地など、いろんなミサイルを運用できます。

まず、対空戦闘では長距離の「HHQ-9B(射程:200km)」、中距離の「HHQ-16B(射程:70km)」を順に放ち、広域の艦隊防空を行う仕組みです。

これらが撃ち漏らした場合、24連装の「HHQ-10(射程:10km)」、130mm速射砲、30mm CIWSで迎え撃ち、防空網に厚みを持たせました。ここに新式の電子妨害システム、複数のデコイ発射機が加わり、ソフト面の防御能力も強化しました。

次に攻撃能力を見ると、新たに「YJ-21」対艦弾道ミサイルを使うほか、開発中のレールガン、レーザー兵器を盛り込み、試験運用する動きがあります。

イージス艦として防空に重点を置き、攻撃能力を強化したといえども、対潜用に短魚雷と対潜ロケット、哨戒ヘリも搭載しており、バランスを取りました。

1.1万トンの船体規模、ミサイル搭載数の多さ、攻撃能力の高さをふまえて、「アジア最強」と評されやすく、大きな脅威には違いありません。

空母打撃群の「盾と剣」

船体規模が大きくなった分、055型は外洋航行性が高く、空母に随伴しやすくなりました。したがって、055型は空母打撃群の中核を担い、空母を守りながら敵を攻撃する、いわば「盾と剣」の両方を期待されています。

また、対空・対地・対艦・対潜の各分野において、統合指揮の役目を果たすべく、最新の戦闘指揮システム、データリンク機能を組み込み、共同交戦能力(CEC)も獲得しました。

これは日本の「まや型」に匹敵するものの、指揮・統制の部分は改善の余地が残り、ここが055型の弱点とされています。ただ、中国海軍の進化ペースを考えると、早々に統合指揮能力でも追いつき、再びアップグレードするでしょう。

西側諸国より情報の透明性がなく、いまだ未知の部分が多いとはいえ、055型は同時対処能力、高い総合戦闘力を持ち、まさに中国海軍の最高到達点です。

本当にアジア最強?

しかし、アメリカのイージス艦と違って、中華イージスは実戦経験がなく、本当に通用するか分かりません。中国海軍の艦艇に限らず、中国の兵装は大元をたどると、ロシア由来(旧ソ連)のものが多く、ここが一種の不安要素です。

ウクライナ侵攻を見ても分かるとおり、ロシア兵器の性能は予想を下回り、西側に劣後すると暴露されました。

中国独自の改良・進化を加えても、どこまで西側に追いつき、追い越せたかは分からず、多少の誇張が入っているはずです。

敵を過小評価してはならず、055型も警戒してしかるべきですが、逆に過度な恐れは本質を見誤り、特に運用実績の蓄積、実戦経験の有無を加味すると、「アジア最強」を鵜呑みにはできません。

アメリカを超える?軍事力を高める中国の野望、目的とは
アメリカに単独で対抗 ここ30年の中国をふり返ると、発展途上国から世界2位の大国、アジアNo.1の地位まで登り、めざましい急成長を遂げました。 ...

コメント