自衛隊も使うロボット犬!Vision60の性能とその役割

自衛隊のロボット犬「Vision60」 自衛隊
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高い状況認識・自律走行能力

2024年の正月に能登半島地震が起きると、すぐさま自衛隊が災害派遣で入り、被災地の救援にあたりました。

このとき、いつもの73式トラックなどに混じって、見慣れない装備が姿を現します。それは瓦礫の上を器用に歩き、カメラで周囲を観察しながら、状況把握をする「ロボット犬」でした。

このロボット犬は「ビジョン60」と呼び、非現実的な見た目とはいえ、実際に自衛隊が導入・運用しています。

  • 基本性能:Vision 60
重 量 51kg
全 長 0.57m
全 幅 0.25m
全 高 0.68m
速 度 通常:時速3〜4km
最大:時速20km
行動距離 3時間以上の連続歩行
耐久性 −40°C〜55°C
積載能力 最大10kg
価 格 約1,700万円

まず、ビジョン60はアメリカの企業が作り、偵察や警戒監視に使うロボットです。開発元はゴースト・ロボティクス社ですが、2015年創設の新興企業にもかかわらず、ロボット犬はアメリカ軍だけではなく、イギリスやオーストラリア、シンガポールも採用しました。

そんなロボット犬は4本の脚を持ち、最大時速20kmで自律走行したり、障害物や段差を乗り越えられます。タイヤとキャタピラに比べると、4足歩行は速度では劣るものの、いろんな地形や環境下で問題なく動き、とても優れた走破性を誇ります。

いくらキャタピラが不整地に強くても、狭い場所や建物の中には入れず、そこまで器用ではありません。これがビジョン60なら、狭い空間でも難なく入り込み、そのまま状況を偵察できます。

自衛隊のロボット犬「Vision60」頭にセンサー機能を集約(出典:航空自衛隊)

頭部には画像カメラ、高性能センサーを積み、状況認識能力を確保しました。ここにGPS機能とともに、LiDARという新技術が加わると、悪天候や夜間でも自律的に歩き、高い空間認識と制御力を披露します。

LiDARは周囲にレーザー光を放ち、立体的に視覚化する技術ですが、自動運転車両にも使われており、位置関係の把握に欠かせません。

これをビジョン60に搭載したところ、暗闇でも障害物を避けて普通に歩き、転倒しても自ら体勢を立て直します。

恐るべき耐久性

ビジョン60は獲得した情報に基づいて、周辺状況のマッピングを行い、すばやく味方に連携・共有できます。このとき、電波妨害に対抗するべく、分散通信機能でデータを送り、僻地でも通信できるそうです。

他方、繊細な印象に反して耐久性は高く、優れた防塵・防水性能によって、水中(1m)や泥の中で稼働するほか、−40°C〜55°Cでも作動します。

3時間充電すれば、連続で3時間以上は歩き、最大10kgの荷物を積めるため、車両では届けられない、孤立した場所に物資を送れます。

設計面ではモジュール構造を使い、パーツを簡単に交換できたり、現地で整備・修理しやすいです。機械としての複雑さでいえば、想像よりはシンプルであって、前述の過酷な環境において、きちんと動くようにしました。

ここまでの特徴を考えると、山岳地帯から市街地にいたるまで、あらゆる戦闘環境で役立ち、それは災害派遣に応用できる能力です。

1帯あたり約1,700万円する代わり、貴重な人命を失うリスクがなく、危険な偵察任務を担う以上、合理的な投資といえるでしょう。

自衛隊への導入と展望

その能力は防衛省の目にも留まり、陸上・航空自衛隊がぞれぞれ3体ずつ、2023年から試験導入しました。

米軍での運用をふまえて、陸自では屋外での情報収集用に、空自は基地警備に使っていますが、どちらも多用途での使用を目指して、複数の追加装備を試しています。

たとえば、アーム(腕)を加えると、最大3.75kgの物を持ち上げ、背中に長距離の音響装置を積めば、非殺傷能力で暴徒対策などに使えます。

自衛隊のロボット犬「Vision60」アームで瓦礫を捜索(出典:航空自衛隊)

ロボット犬の特性を考えれば、事前偵察と基地警備には適しており、前者は日本の険しい山岳、建物が密集する市街地において、その有益性を証明するでしょう。

ウクライナでの市街戦を見ると、建物内の状況把握は欠かせず、ドローンと組み合わせたら、待ち伏せリスクを減らしたり、爆発物の処理にも使えます。

ただ、日本で最も現実的な使い方は、災害派遣での状況把握です。

冒頭で述べたとおり、陸自はビジョン60を能登半島に運び、瓦礫の散乱や土砂崩れ、冬の荒天に直面するなか、孤立集落までの到達ルート、住民の避難経路を事前に歩き、その安全性を確かめました。

人が歩く前にロボットを送り込み、本当に安全かどうかを確認する。これは二次災害を防ぎ、隊員の命を守る上で重要です。

ついでに物資の搬送を手伝い、孤立集落に水と食糧を届けており、「実戦投入」は成功に終わりました。

自衛隊のロボット犬「Vision60」能登半島地震での投入(出典:防衛省)

ビジョン60は物資は積めるものの、武装は搭載しておらず、あくまで非戦闘型のロボットです。

しかし、ウクライナでは無人兵器の投入が進み、2026年には無人兵器群だけを使い、領土(陣地)の奪還に成功しました。いまや無数のドローンが飛び、地上では無人車両が走り、偵察・攻撃・救護にあたっています。

このような実情を受けて、米海兵隊はビジョン60の改良を行い、遠隔操作式の機銃を加えました。「Vision 60 Q-UGV」の名の下、ドローンや有人機との統合を試み、単一の無人ネットワークを目指します。

一方、自衛隊は現時点では武装化せず、情報収集に専念するつもりです。倫理的な側面、国内世論の問題があるにせよ、世界的にロボットの武装化が進むと、日本も無縁ではいられません。

自衛隊での運用も試験段階にすぎず、このまま無人兵器の必要性が高まれば、同様に武装化を試みるでしょう。

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