バランス良い?近代化改修した「たかなみ型」護衛艦の能力

自衛隊
この記事は約4分で読めます。

「むらさめ型」の発展版として

海上自衛隊の花形といえば、イージス艦や戦後初の空母になった「いずも型」ですが、数の上で海上戦力の中核を担うのが汎用護衛艦。

その汎用護衛艦のうち、ステルス性を意識してミサイルの垂直発射化を実現したのが「むらさめ型」で、それをさらに改良・発展させたのが今回紹介する「たかなみ型」です。

⚪︎基本性能:「たかなみ型」護衛艦

排水量 4,650t (基準)
全 長 151m
全 幅 17.4m
乗 員 175名
速 力 30ノット(時速56km)
兵 装 ・127mm速射砲×1
20mm CIWS×2
・対艦ミサイル×8
・垂直発射装置 (VLS) ×32
・3連装短魚雷発射管×2
艦載機 SH-60J/K哨戒ヘリ×1
(最大2機搭載可能)
建造費 1隻あたり約640億円

1990年代後半に登場した「むらさめ型」は、汎用護衛艦として十分すぎる性能を持っていたものの、21世紀に入ると主砲の火力強化、射撃管制機能と対潜能力の向上を目指した「たかなみ型」が建造されました。

基本設計は「むらさめ型」とあまり変わらず、当初は11隻を建造予定でしたが、新型ソナーなどの開発が間に合わず、最終的な就役数は5隻となりました。

それでも「むらさめ型」と合わせて14隻なので、「数的」には護衛隊群の主力を占めています。

なお、「たかなみ型」が搭載予定だった新装備は、その後登場した「あきづき型」護衛艦に受け継がれました。

前級との違いは主砲とVLS

では、「むらさめ型」とはどこが違うのか?

ほとんど同じ設計で、見た目も似ている両者を区別する最大のポイントは主砲です。

「むらさめ型」が76mm砲を搭載しているところ、「たかなみ型」はより大型の127mm砲を採用しました。これは「こんごう型」イージス艦と同じもので、主に対地・対水上攻撃力の強化を目指した結果です。

そして、「むらさめ型」がVLSを対潜・対空用に分けて配置したのに対して、統合した方が運用上は好都合ということで「たかなみ型」では船体前部に集約しました。

このVLSは、アスロック対潜ミサイルと対空ミサイルを装填していますが、近代化改修によって後者は発展型シースパロー「ESSM」に換装されました。就役当初から2つ以上の目標に同時対処できるとされ、ESSMの搭載でその防空能力はさらに高まったといえます。

さらに、4番艦から新しい情報処理装置を搭載したり、5番艦のみ能力強化型レーダーを採用するなど、同じ「たかなみ型」でも微妙な性能差があるのです。

「たかなみ型」の各兵装(出典:海上自衛隊、筆者加工)

ほかにも、ヘリ搭乗員の待機室が新設されたり、居住区が大部屋化(12名→30名)されるなど、艦内区画はかなり設計変更されました。

これは後部VLSの撤去で余裕が生まれた代わりに、船体前部はVLSの集約と主砲の大型化で逆にスペースが圧迫されたからです。

さらなる近代化改修を受けるのか

初期構想の半分以下の建造数に終わり、新型装備も間に合いませんでしたが、それでも「むらさめ型」と同様にバランスの取れた、使い勝手のよい護衛艦になりました。汎用護衛艦に求められる点はクリアしており、世界基準でも「優秀」の評価は与えられるでしょう。

今もパトロールから海外派遣までのあらゆる任務をこなしているなか、「むらさま型」とともに新たな近代化改修を受ける案が出てきました。

これはまだ技術公募の段階ではあるものの、「もがみ型」フリゲートにあるような固定式の多機能レーダーを装備する案と思われ、実現したら2040年代までは現役続投になるでしょう。

傑作艦?海上自衛隊の主力を務める「むらさめ型」護衛艦
海自のワークホースとして活躍中海上自衛隊の護衛艦といえば、ヘリ空母やイージス艦を思い浮かべる人が多いですが、「建造数」という意味で主力を...

コメント

タイトルとURLをコピーしました