参加国が増える懸念
さらに懸念をあげるとすれば、参加国が増えることです。
どんなプロジェクトでも、参加者の数が増えると、負担を分散できる代わり、調整作業が複雑化してしまい、計画の難航と遅延を招きます。
すでにドイツなどが興味を示すなか、カナダのオブザーバー参加が決まり、サウジアラビアも事実上の参加待ちです。
オブザーバーは正式参加とは違って、意思決定に関与しないとはいえ、将来的な参画への道を切り開き、その手前の段階になります。
今後は参加国が増える?(出典:BAEシステムズ)
カナダはともかく、参加国の候補を巡って、日英伊で意見が食い違い、これが本計画の潜在的な問題です。
たとえば、イギリスはサウジアラビアの財力を狙い、その参加を推す立場ですが、日本は納期の遅延を理由にあげて、同国の参加に反対しました。
しかし、石油の3割以上を頼るにもかかわらず、納期遅延を理由に反対するでしょうか。日本はインドにも参加を打診しましたが、それこそ計画の遅延につながりかねず、足並みが乱れる可能性があります。
では、なぜサウジの参加に反対したのか?
サウジアラビアといえば、イスラム教・スンニ派の盟主であって、シーア派の盟主・イランの「敵」です。
サウジアラビアがGCAP計画に加わり、最新のステルス機を入手したら、中東の軍事バランスが崩れてしまい、日本とイランの関係も悪化するでしょう。
日本は西側陣営にもかかわらず、イランとは例外的な友好関係を築き、中東問題とは距離を置いてきました。
さらに、日本とサウジは友好関係にあるものの、基本的人権などの価値観を共有しておらず、向こうは世界有数の独裁国家です。ビジネス・パートナーである限り、利益・理念・方向性の共通認識が欠かせず、サウジは「理念(価値観)」で引っかかります。
その後、サウジの資金提供と引き換えに、イギリスが技術支援することになり、やや異なる形で計画に参加しました。
ただし、いまだ人権を巡る認識の違いは消えず、ロシアへの情報漏えいを考えて、サウジは対等なパートナーではなく、ワンランク下の位置付けです。
「心神(X-2)」との関係
ところで、日本の次期戦闘機といえば、「X-2」はどうなったのか?
「心神」とも呼ばれたX-2ですが、もともと量産するつもりはなく、あくまで先進技術の実証機として、ステルス性能や新しい制御システム、エンジンなどを試す機体でした。
初めから実験機だったわけですが、多くの貴重なデータを持ち帰り、GCAP計画でも活かされるため、両者は無関係ではありません。


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