ガザ侵攻で弱点発覚
メルカバMk.4は防御力強化も忘れておらず、前述のモジュール装甲に加えて、「トロフィー」というアクティブ防護システムも導入しました。
これは対戦車ミサイルなどをレーダーで探知して、散弾を放って迎撃するものですが、代わりに周辺を巻き添えにしやすく、味方歩兵が一緒に行動するのが難しくなりました。
歩兵が随伴できないのは爆発反応装甲と同じですが、ガザ侵攻ではハマス側がこの弱点を突いてメルカバ戦車を撃破しています。
現在の主力・メルカバMk.4(出典:イスラエル国防軍)
アクティブ防護システムはミサイルやロケット弾の飛来は捉えるものの、人間の接近には対応しておらず、随伴歩兵がいない状況ではハマス戦闘員の肉薄攻撃を許してしまいました。
その結果、戦闘員が仕掛けた爆発物によって防護システムがダウンしたあと、ロケット弾の集中攻撃で撃破されるケースが相次ぎました。
防護システムを逆手にとった形ですが、これは高性能戦車といえども、随伴歩兵がいなければ、その立場は脆弱であると改めて示したものです。
最新型のMk.5へ
ガザ侵攻で意外な欠点をさらけ出したものの、メルカバ戦車が「走・攻・守」の全てに優れた戦車であるのは変わりなく、今後もイスラエルの主力戦車として使われる予定です。
量産予定のメルカバMk.5(出典:イスラエル国防軍)
すでに「Mk.5バラク」という新型も開発されていて、AIコンピューターによる電子戦・情報共有能力の進化に加えて、対ドローン・巡航ミサイルの機能まで獲得しました。
そして、このMk.5は夜間戦闘にも対応した全周360度のカメラ・システムも導入しています。
このシステムを使えば、戦車の指揮官は戦闘機パイロットのようなヘルメットを被りつつ、内部ディスプレイに映るリアルタイム情報を確認できます。そのため、敵歩兵の接近をより発見しやすくなると期待されています。
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