ドイツが設計したMEKO型フリゲート・シリーズとは?

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大部分をモジュール化

ドイツといえば、陸上兵器のイメージが強いなか、水上艦艇の設計でも実績を作ってきました。そのひとつが「MEKO型フリゲート」ですが、これは6つのタイプからなる軍艦シリーズです。

  • 基本性能:MEKO A-200型
排水量 3,700t (満載)
全 長 121m
全 幅 16.3m
乗 員 120名+同乗50名
速 力 28ノット(時速52km)
航続距離 約13,300km
兵 装 対空ミサイル、対艦ミサイル、
短魚雷、CIWSなど
※採用国によって異なる
建造費 1隻あたり約600億円

MEKOとは「多目的な組み合わせ」の略称であって、メンテナンスの時間やコストを減らすべく、兵装などの装備品をモジュール化しました。モジュール化で換装・改修作業は容易になり、それは武器や電子機器のみならず、エンジン部分にまでおよびました。

アメリカの「沿海域戦闘艦(LCS)」もモジュール兵装を持ち、任務に応じて換装できますが、MEKO型のように推進機関や空調にまで適用したのは稀有です。

また、MEKO型全般の特徴として、艦内には箱型のガーダー(桁)が縦断しており、被弾時に主要配管や電力系統を保護します。

そんなMEKO型は1980年代の「360型」から始まり、「200型」「A-200型」「140型」「100型」「A-100型」に広がりました。

新しくなるにつれて、ステルス性を向上させたり、水中雑音・排熱を低減させるなど、一定の進化を遂げてきました。たとえば、「A-200型」には煙突が見られず、側面・艦尾から排気するシステムです。

この「A-200型」はディーゼルとガスタービンの両方を使い、それぞれがスクリューとウォーター・ジェット推進を担います。この独特の「CODAG-WARP方式」に加えて、煙突をなくしたわけですが、その分のスペースは格納庫などにあてました。

ただし、こうした特殊設計は現場から嫌われやすく、アイデアと実際の運用でギャップがあるのは否めません。

わりと世界中で人気

6つのMEKO型のうち、最初の「360型」はアルゼンチンとナイジェリアが使い、合計5隻が建造されました。

建造数でいえば、「200型」が最も多く、トルコとギリシア、ポルトガル、オーストラリア、ニュージーランドで計25隻が運用中です。しかし、それぞれ名称が異なり、「アンザック級(オーストラリア)」のような名前で知られています。

発展タイプの「A-200型」については、南アフリカとアルジェリア、エジプトが採用するなど、わりとアフリカ勢に人気です。

一方、「140型」はアルゼンチンが6隻使っているものの、あまりに船体規模が小さく、モジュール化の利点を活かしきれていません。この問題は「100型」にも通じており、マレーシアとポーランドでは装備品を必要最小限にしぼり、哨戒艦として運用しています。

ところで、肝心のドイツの名前が見られませんが、じつはMEKO型フリゲートを直接は採用していません。その代わり、123型や124型などの主要艦艇はMEKO型の流れは受け継ぎ、その技術が導入されていることから、事実上のMEKO型とする向きもあります。

すなわち、そのままは導入していなくとも、MEKO型とドイツ海軍の艦艇は技術的には共通部分が多く、ほとんど親戚関係といえるものです。

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