レーザー誘導で追尾する
軍事分野で世界最先端を歩むがゆえ、アメリカは驚くような兵器を多く開発してきました。そのなかに、なんと途中で弾道が曲がる銃弾があります。
これは狙撃兵の命中率を引き上げるべく、国防高等研究計画局(DARPA)が2008年に作った12.7mm弾です。その名も「EXACTO(Extreme Accuracy Tasked Ordnance)」、日本語では極めて正確な銃弾という意味になります。
空中で軌道を変えるにもかかわらず、外見上は制御翼などがなく、内部の精密誘導機器に頼る形です。
狙撃手は専用の照準器を使い、目標に対してレーザーを照射します。射撃後もレーザーで追いながら、捕捉情報を照準器から銃弾に送信します。その情報は銃弾内部に伝わり、小さな制御翼(フィン)で軌道修正する仕組みです。
このとき、毎秒30回も軌道修正できるため、常に目標の動きに合わせながら、確実な命中コースを飛べます。この「スマート銃弾」は風雨などの影響を受けづらく、100%近い命中率を期待できるほか、その射撃距離も大きく延びました。
照準器で捉えている限り、ミサイルのように敵を追うことから、実験では2km先の目標にも当たり、いわゆる「スナイパー版のミサイル」といえる兵器です。
使いどころが難しい
まさにスナイパーにとって夢のような銃弾ですが、2014年の射撃試験では動く目標に命中する様子が公開されました。
また、小型偵察ドローン、自爆ドローンが脅威になるなか、スマート銃弾は対抗手段のひとつとしても期待されています。
構える狙撃兵(出典:アメリカ陸軍)
しかし、いくつか欠点があるのも事実です。
まず、レーザー照射に頼る以上、敵に狙っていることがバレてしまいます。加えて、照射時の消費電力が大きく、小型照準器への電力供給が課題になりました。スナイパーの隠密性を考えれば、発電機や大型バッテリーは持ち歩けず、現場での電力供給の目処がなかなか立ちません。
さらに、複雑な先進技術はコスト増につながり、その費用対効果が疑問視されてきました。12.7mm弾は主に車両を狙うとはいえ、1〜2発での撃破は難しく、そこまでの戦果は見込めません。
対人狙撃は相手が高級将校・将官でなければ、わざわざ高いスマート銃弾を使うのは割に合わず、使いどころが難しいといえます。
こうした欠点があってか、曲がる銃弾は2014年以降は音沙汰がなく、もっと費用対効果の高い兵器に予算が流れたそうです。おそらく、開発自体は続いているものの、実験兵器に終わる可能性が高く、一般的な装備にはならないでしょう。

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