変態すぎる対空ミサイル
ミサイル技術が進化するにつれて、いろんなタイプが生まれてきましたが、アメリカの空軍研究所では、なんと先端部が変形して曲がるミサイルを開発しました。
あまりに斬新すぎるこの新兵器は、空戦での撃墜成功率を高めるべく、迎撃直前に先端部を曲げながら、弾頭部分の威力を目標に対して全面的に向かわせます。
これは高い機動性を持つミサイルには有効とされており、直前での回避を無効化するのが狙いです。
この開発計画は「Missile Utility Transformation via Articulated Nose Technology(可変先端部によるミサイル技術の革新)」と名付けられたため、その頭文字をとって「ミュータント計画」とも呼ばれています。
この変態的なミサイルにミュータントを使うあたり、さすが略称のセンスに長けたアメリカという感じです。
新概念の飛行制御
さて、そんなミュータント・ミサイルの構想は1950年代からあったものの、中核となる関節型の飛行制御システムは最近になってようやく実用化されました。
その動きのイメージとしては、F-35B戦闘機が垂直着陸するときのエンジン・ノズル部分のようなものです。
この関節型システムには、飛行中の各段階に合わせて変形や微調整する「アクティブ・モーフィング」という技術が使われているほか、柔軟性が求められる可変部分には空気摩擦の高熱にも耐えられる新素材を採用しました。
ちなみに、このアクティブ・モーフィング技術を航空機の翼部分に応用すれば、変化する空気抵抗に合わせて微調整を行い、最適な飛行性能をもたらすと期待されています。
この変形技術を使えば、これまでのようにフィン(小翼)に依存しなくて済み、機動性を保ちながら、射程距離も伸ばせる見込みです。しかも、先端部分をいつも目標に向けられるため、捕捉・誘導面でも有利とされています。
いまのところ、ミュータントの技術は2024年末までに地上テストで試したあと、ヘルファイア・ミサイルの改良型に試験採用される予定です。
そして、将来の戦場でも航空優勢を確保すべく、いずれは第6世代ステルス戦闘機での運用を目指すと思われます。
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