全然足りない?自衛隊サイバー防衛隊の編成と実力について

パソコンを操作する自衛官たち 自衛隊
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サイバー攻撃対処の統合部隊

現代戦は従来の陸海空に加えて、宇宙・サイバー・電磁波の領域でも繰り広げられるため、自衛隊もこれら各分野に対応せねばなりません。宇宙分野は以前紹介した航空自衛隊の「宇宙作戦群」が担い、電磁波については陸上自衛隊の電子作戦隊などがあります。

では、日本がとりわけ弱いとされる「サイバー」は?

サイバー分野にも「自衛隊サイバー防衛隊」と呼ばれる専門部隊があって、陸海空から選ばれた約900名が東京・市ヶ谷にて活動中です。

防衛大臣の直轄部隊であるサイバー防衛隊は、もともと2008年に「自衛隊指揮通信システム隊」として発足した後、2022年に再編成されました。

そんなサイバー防衛隊は、自衛隊全体をつなぐ情報通信ネットワークを守るのが仕事です。北海道から沖縄、離島から山奥まで配備されている自衛隊は、防衛省共通のネットワークでつながっており、これがダウンすれば一挙に機能不全になります。

ただし、サイバー防衛隊以外にも、陸海空それぞれのサイバー部隊も存在していて、各組織が使う情報通信ネットワークを監視・防衛しています。

つまり、陸海空独自のネットワーク・システムは各々のサイバー部隊が、防衛省全体のものはサイバー防衛隊が主に担当している形です。

ロシア=ウクライナ戦争でもみられたように、現代戦は序盤で必ずサイバー攻撃が仕掛けられるため、防護力強化とともに多層的な防衛体制を構築せねばなりません。

脆弱性が露呈した侵入事件

さて、2022年末に防衛力強化を打ち出した日本政府は、サイバー関連の人員を2万人規模まで増強するつもりですが、この背景には防衛省が中国軍の侵入を許した事件がありました。

アメリカの有力紙「ワシントンポスト」によると、防衛省で最高クラスの機密情報を扱うシステムが2020年に中国軍によってハッキングされました。

これを察知したアメリカが日本に急いで伝達したとのことですが、それは米軍関係者が「衝撃的なほどひどかった」と懸念するほどでした。当時の国家安全保障局長が緊急来日して直接注意を促したものの、その後も日本側の動きは遅く、危機管理能力の低さが浮き彫りになった形です。

「日米の情報共有に支障をきたす」というアメリカ側の勧告を受けて、日本政府はサイバー増員を表明したと思われますが、それは同時にアメリカが日本を監視していた事実を暴露しました。

それでも、アメリカ側が伝達にふみきったのは、事態がそれほど深刻だったから。

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