待望のミサイル護衛艦
海自の高性能な護衛艦といえば、いまでこそイージス艦が思い浮かぶも、それ以前は「はたかぜ型」でした。
「たちかぜ型」に続くミサイル護衛艦、いわゆる「DDG」の役割を果たすべく、1986年に就役したベテランであって、長らく艦隊の防空を支えてきました。
当時は「八八艦隊」の構想に基づいて、護衛艦8隻と哨戒ヘリ8機で艦隊を組み、ひとつの護衛隊群に対して、DDG×2の配備を目指しました。
- 基本性能:「はたかぜ型」護衛艦
| 排水量 | 4,600t(基準) |
| 全 長 | 150m |
| 全 幅 | 16.8m |
| 乗 員 | 260名 |
| 速 力 | 30ノット(時速55.6km) |
| 航続距離 | 6,000浬(11,110km) |
| 兵 装 | 5インチ速射砲×2 20mm CIWS×2 単装ミサイル発射機×1 アスロック発射機×1(8連装) ハープーン対艦ミサイル×8 三連装短魚雷発射管×2 |
| 建造費 | 約620億円 |
「はたかぜ型」では戦闘指揮所(CIC)の機能が広がり、コンピュータと情報処理機能の強化に加えて、自動探知・追尾するレーダーシステムを採用しました。
これらの装備で目標をとらえたあと、艦前方の「ターター・システム」から対空ミサイルを放ち、撃ち漏らした敵は5インチ速射砲、20mm CIWSで迎撃する仕組みです。
垂直発射型のイージス艦とは違って、単装式のターターは1発ずつしか撃てず、射撃指揮装置の制約により、同時交戦数も限られています。それでも、「はたかぜ型」は中距離のSM-1ミサイルを使い、あとで登場するイージス艦を除くと、随一の艦隊防空能力を誇りました。
さらに、電波妨害装置とミサイル警報装置、チャフ・フレア装置を持ち、艦隊防空戦を強く意識しました。
一方、後部には飛行甲板を設けたほか、DDG初の減揺装置を組み込み、ヘリの離発艦を可能にするとともに、作業時の安全性を高めました。
ただし、ヘリ用の格納庫はないことから、通常は艦載機を搭載しておらず、発艦時は5インチ砲を90度横にするなど、いろいろ運用上の制約は否めません。それゆえ、航空運用は人員・物資の移動に限り、対潜哨戒はDDH(「はるな型」「しらね型」)に任せてきました。
また、DDGとして初めてガスタービン・エンジンを使い、防振材のような工夫を通して、水中雑音を大きく低減させました。
別に欠陥ではない
「はたかぜ型」は4隻を計画していたものの、予算の都合とイージス艦の枠を空けるべく、最終的には2隻に削られました。
そして、本来は途中で近代化改修を受けて、全体的な能力を強化すべきところ、結局は予算難で実現できず、艦齢延伸の工事にとどまりました。もし「こんごう型」が実現していなければ、おそらく4隻の「はたかぜ型」がそろい、近代化改修を受けていたでしょう。
されど、「はたかぜ型」は同じDDGといえども、その性能はイージス艦には遠くおよばず、あくまで移行期の防空艦だったいえます。
そのイージス艦と比べて「はたかぜ型」を欠陥、低性能と見くびる傾向がありますが、これは決してフェアな比較ではなく、防空能力で劣るのは当たり前です。
イージス・システムの導入が決まるまで、その輸出をアメリカが許可するまで、「はたかぜ型」は最善の選択肢であったうえ、非イージス艦では最高クラスの性能でした。
そんな「はたかぜ型」は老骨にムチを打ち、「まや型」が登場したにもかかわらず、現在も2番艦「しまかぜ」が練習艦として活動しています。ただ、すでに艦齢は36年を超えており、2025年に退役した「はたかぜ」に続いて、まもなく退役する予定です。
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