ワスプ級強襲揚陸艦のスゴさ!その比較や違いについて

アメリカ
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海に浮かぶ万能基地

アメリカは多数の強襲揚陸艦を使い、最強の上陸作戦能力を誇りますが、特に「ワスプ級」はそれを長く支えてきました。

  • 基本性能:ワスプ級強襲揚陸艦
排水量 約41,000t(満載)
全 長 約258m
全 幅 約32m
乗 員 1,070名
速 力 24ノット(時速44.5km)
航続距離 最大17,600km
兵 装 20mm CIWS×2〜3
シースパロー対空ミサイル×16
RAM発射機×2
25mm機関砲×4
12.7mm機関銃×4
輸送能力 兵員:1,870名
車両:80〜100両
揚陸艇 LCAC揚陸艇×3
機動揚陸艇×12など
艦載機 MV-22オスプレイ
CH-46輸送ヘリ
CH-53E輸送ヘリ
AH-1Z攻撃ヘリ
F-35B戦闘機など
建造費 約3,500億円

まず「強襲揚陸艦」を簡単に説明すると、海兵隊とその車両・装備を積み、敵地に上陸させる船です。

航空攻撃を担う空母とは違って、地上部隊の投入が主目的とはいえ、広い飛行甲板には各種のヘリコプター、垂直離着陸型の戦闘機が並び、高い航空運用能力があります。

さて、ワスプ級は1989年に登場後、計8隻が建造されており、うち7隻が現役です。

大型客船に匹敵する船体を持ち、2,500人以上が乗り込む「海の街」ですが、海と空から兵力を展開すべく、全長250mの飛行甲板・格納庫とともに、揚陸艇用のウェルドックを備えました。

輸送ヘリに「全振り」した場合、最大42機のCH-46を搭載できるうえ、8機近くが同時に離発着可能です。逆にF-35B戦闘機に限定すれば、最大20機以上を搭載できるため、強力な「ライトニング空母」と化します。

ただ、実際は任務次第で機種・機数は変わり、MV-22オスプレイ・AH-1Z攻撃ヘリ・CH-53輸送ヘリなど、いろんな機体を組み合わせながら、最適の編成を目指すわけです。

いずれにせよ、それまでの「タラワ級」に比べると、新たにオスプレイとF-35Bに対応したほか、全体の搭載機数も増えました。

ワスプ級のウェルドック(出典:アメリカ海軍)

陸上戦力を輸送する以上、艦内に航空機の格納庫だけではなく、車両甲板が設けられており、M1エイブラムス戦車やAAV-7水陸両用車、各種トラックを搭載できます。

しかし、収容人数は2,070名から1,890名に減り、車両甲板も少し狭くなりました。それでも、戦車×5両・歩兵戦闘車×25両・榴弾砲×8門に加えて、65両以上の軍用トラックを運び、大隊規模の揚陸能力を確保しました。

また、ウェルデックは艦の後部に置き、そのまま海水を引き込みながら、揚陸艇を発進できる仕組みです。使う揚陸艇の種類次第とはいえ、エア・クッション型(LCAC)は3隻、通常の機動揚陸型ならば、最大12隻まで運用できます。

これもタラワ級と比較すると、機動揚陸艇は8隻減といえども、高速のLCACは2隻増えたため、ワスプ級は高速重視にシフトした形です。

自衛火器と高い指揮能力

他方、直接的な交戦は想定しておらず、兵装は防空ミサイルとCIWSにとどまり、あくまで自衛用に限定しました。あとは小型船対策として、25mm機関砲と12.7mm機銃があるぐらい。

自衛限定の兵装に対して、指揮通信能力とシステム機能は高く、艦隊旗艦と上陸作戦時の統合運用を担い、揚陸から航空・火力支援、兵站にいたるまで、あらゆる側面を調整・指揮します。

さらに、作戦時は発進場所のみならず、医療拠点としても活動するため、艦内には46個のベッド、14個の集中治療室、4つの手術室を完備しました。なお、海兵隊員の居住区を転用すれば、追加で200個のベッドを確保できます。

ワスプ級強襲揚陸艦(出典:アメリカ海軍)

以上のとおり、ワスプ級は上陸作戦の「プラットフォーム」であり、空母のような派手さはないものの、現代の海兵隊に欠かせない存在です。

アメリカの「力の投射能力」を象徴するほか、その能力は人道支援でも役立ち、2011年の東日本大震災において、佐世保から「トモダチ作戦」に駆けつけるなど、物資輸送や被災者支援で活躍しました。

後継が登場するも、現役続行

いまだワスプ級は現役といえども、後継の「アメリカ級」の建造が進み、いずれは更新される予定です。

ところが、アメリカ級はF-35Bの運用能力を強化した分、ウェルデックを廃止・縮小してしまい、揚陸艇の運用能力が足りません。その後、再設計で揚陸能力を改善するも、航空運用能力を優先した点は変わらず、「F-35Bの軽空母」とされるほどです。

したがって、ワスプ級で全体の作戦能力を補い、しばらくは使い続けるつもりです。老朽化が進んだといえども、強襲揚陸艦としての価値は高く、抑止力の効果も見逃せません。

2026年だけに限っても、南米ベネズエラの強襲作戦、イランに対する攻撃のとき、ワスプ級も周辺海域に展開しました。そして、アジア太平洋においても、佐世保基地にワスプ級が配備されるなか、地域の安定と抑止に一役買っています。

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