長距離攻撃用!「FP-1」自爆ドローンの航続距離と速度

ドローン
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2,600km先まで届く

ロシアはウクライナに侵攻したものの、戦況は全く想定通りには進まず、ロシア領への逆侵攻をゆるしたり、国内がドローンに襲われてきました。

いまやドローン攻撃が連日のように続き、最近は軍需工場と防空施設に加えて、石油関連施設が集中攻撃されています。ウクライナは各地の製油所・精製施設を狙い、ロシアの石油供給能力を奪うとともに、国内で混乱を引き起こしました。

首都の石油施設さえ燃え上がり、資源大国であるにもかかわらず、ロシア国内ではガソリン不足が起き、外国から緊急輸入するほどです。

また、アゾフ海では石油タンカーに対して、次々とドローンが突っ込み、数十隻を炎上・航行不能にさせました。撃沈まではいたらずとも、意図的に艦橋を攻撃したところ、多くの精密機器が壊れてしまい、ロシアでの代替・修理を難しくしました。

こうしたドローン攻撃において、特に活躍しているのが「FP-1」です。

  • 基本性能:FP-1攻撃ドローン
全 長 約3.5m
全 幅 約2.5m
全 高 約0.5m
速 度 時速205km
航続距離 1,600〜2,600km
高 度 約5,500m
兵 装 爆薬60〜120kg
価 格 約900万円

FP-1はロシアの侵略にともなって、急いで開発された自爆ドローンですが、最大2,600kmの航続距離を誇り、長距離攻撃に使ってきました。

エンジニア・建築家・ゲームデザイナーなどが集まり、新興のスタートアップ企業が開発したあと、2024年には国防省のドローン予算のうち、約1/3相当の契約を獲得しました。

ちなみに、この企業は「ファイア・ポイント」と呼び、その頭文字から「FP-1」と名付けました。

FP-1自体は固定翼型の機体を持ち、最大120kgの爆薬を搭載しながら、体当たり攻撃する兵器です。爆薬搭載量は60〜120kgの範囲で選び、それによって威力と航続距離が変わります。

たとえば、上限の120kgまで搭載すると、最大限の威力を発揮する分、航続距離は1,600kmが限界です。それでも、この距離は東京〜那覇と変わらず、ロシア西部の大半が射程に収まります。

逆に60kgでは威力が減る代わり、航続距離は2,600kmまで伸び、シベリアまで攻撃可能です。追加の増槽で燃料を増やせば、3,400km先まで届いてしまい、ミサイル顔負けの射程です(速度は落ちるが)。

また、威力は爆薬の種類でも異なり、成形炸薬型は装甲を貫き、相手を爆発・炎上させるのに対して、破片型は残骸を撒き散らして、周囲に被害を与えます。

実戦では前者の使用が多く、装甲車両・航空機・陣地を破壊したり、レーダーと滑走路、兵器工場、製油所など、重要施設の稼働力を一時的に奪い、ロシアの継戦能力を低下させました。

FP-1ドローン(出典:ウクライナ軍)

なお、機体はシンプルな構造なれど、表面には電波吸収剤を使い、被探知率を下げたほか、妨害電波への耐性も備えました。

基本的にはプロペラ推進を使い、時速200kmでゆっくり飛ぶものの、ターボ・ジェット型も存在しており、こちらはロケットブースターで発射台から放ち、時速800km以上で飛行可能です。

離陸後は慣性航法(計器飛行)で飛び、途中でGPSにアシストされながら、カメラ映像で目標を捕捉できます。戦車のような動く目標はともかく、地上の静止目標には当たりやすく、船舶に対する命中率も良好です。

搭載量と航続距離を考えると、戦車などの最前線の標的ではなく、後方の固定目標に使うのが最適であり、実際にそのように運用してきました。

格安で防空網を突破

そんなFP-1の価格は約900万円にすぎず、それと引き換えに数倍の目標を破壊します。費用対効果のみならず、FP-1は生産性も優れており、1日の製造数は最大200機です。

すでに5,000機以上をつくり、長い航続距離を活かしながら、ロシア各地を攻撃しています。

しかも、軍用の滑走路に頼ることなく、移動式の装置から飛び立ち、発射地点を特定されません。巡航ミサイルに比べると、速度は圧倒的に遅いものの、この低速性が逆に防空網の穴を突き、次々と突破してきました。

冷戦期をふり返ると、ドイツの青年がセスナに乗り、ソ連の防空網を突破したあげく、モスクワの赤の広場に着陸する、という「大事件」がありました。

ソ連側の失態はあるにせよ、それだけ小型・低速機は発見しづらく、意外に現代防空網の盲点なのです。ロシアの防空網に限らず、現代は主にジェット機をにらみ、低速のドローンは想定外といえます。

仮に防空レーダーで探知後、迎撃機を差し向けても、戦闘機の高速性が仇となり、低速な相手に十分対処できず、突破を許してきました。

低速だからこそ対処しづらい

さらに、約900万円のFP-1ドローンに対して、数千万円の対空ミサイルは割に合わず、迎撃側はコストの非対称性に悩みます。

ここにウクライナの戦術が加わると、FP-1は低速なドローンといえども、ロシア側の防空網を突破してきました。まずはレーダーと防空兵器を狙い撃ち、開けた穴からドローンを送り込み、相手を「数」で押し切るわけです。

このとき、FP-1だけではなく、複数の種類を同時に使えば、それぞれの飛行特性に合わせて、最大限の撹乱と戦果を期待できます。ただでさえ数が多いのに、違う種類が混じっていると、それだけ識別能力に負担がかかり、高価なミサイルも浪費させました。

首都への侵入と燃料危機

一方、ロシアも見逃しているわけではなく、毎回それなりの数を落としています。それでも、全てのドローンは落とせないほか、ロシアの防空能力が想像よりも低く、首都・モスクワへの侵入さえ許しました。

モスクワはロシアの中枢である以上、多層的で濃密な防空体制を築き、最も厳重に守っているはずです。そこをウクライナのドローンが飛び、防空網を突破された事実は重く、飽和攻撃戦術の有効性とともに、防空能力の限界を示しています。

いくら報道管制を敷き、「我が軍が優勢」と主張しても、首都への航空攻撃が頻発すれば、さすがのロシア国民も疑い始めます。

炎上するモスクワの石油施設

2026年5月以降になると、第二都市のサンクトペテルブルクも襲い、市民の目の前で半導体工場、石油関連施設を炎上させました。

その後、FP-1は次々と石油施設に突っ込み、冒頭の燃料危機を引き起こします。航続距離を伸ばしたのか、2026年6月には2,500km先のオムスクに届き、ロシア最大の精製工場を攻撃しました。

いくら石油資源が豊富でも、それを精製できなければ、全く意味がありません。ところが、ロシアは高度な精製技術において、西側に頼ってきたため、現状では精製設備が破損しても、経済制裁で部品を調達できず、まともには修理できません。

応急措置と代替品で復旧しても、本来の精製能力は引き出せず、ウクライナとの戦争が続く限り、再びドローン攻撃を受けるだけ。同じソ連の構成国だったためか、ウクライナはロシアの弱点を知り、ドローンという新兵器を使いながら、それを上手く突いてきました。

「必要は発明の母」

FP-1が長距離攻撃能力を支えるなか、ウクライナの開発の手は止まらず、中距離用の「FP-2」を登場させたほか、両翼に無誘導のロケット弾を積み、その能力を進化させています。

従来の「体当たりする使い捨て兵器」ではなく、ロケット弾で対地攻撃しながら、目標までの侵入経路を切り開き、やや無人攻撃機に近づきました。

他方、大型の「FP-5」の開発に取り組み、弾頭重量と射程を飛躍させました。この「FP-5」は巡航ミサイルに近く、「トマホーク」の倍以上の爆薬を詰め込み、最大3,000km先まで飛行できます。

「必要は発明の母」であり、戦争はそれを加速させますが、FP-1などはその最たる例でしょう。

ロシアは戦争を始めたとき、ウクライナを自国への脅威と言い、非軍事化を目指しました。ところが、戦争が長引くにつれて、ウクライナの兵器開発能力は劇的に伸び、独自の長距離攻撃能力を獲得しました。

皮肉にも、ロシアは脅威を取り除くどころか、自国の首都さえドローン攻撃に遭い、深刻な燃料危機に直面しています。そして、それらはFP-1の活躍に始まり、その改良と発展は止まりません。

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