ジャベリンとの違い
NLAWはジャベリンと似た点が多く、両者は混同されがちですが、逆に相違点は何でしょうか?
まず、あげられるのが「誘導方式」です。
前述のとおり、NLAWは慣性航法を利用するのに対して、ジャベリンは赤外線画像(シーカー)で誘導します。
ジャベリンはシーカーで目標をとらえている限り、遠距離でも高い命中精度を期待できますが、目標が放出する赤外線が少なければ、一気に精密攻撃が難しくなります。
一方、NLAWも未来予測位置を使う以上、急な進路変更や想定外の動きをされると、わりと外れやすいのが欠点です。
次に両者は同じ成形炸薬弾を使うものの、弾頭の起爆方法が異なります。
どちらも戦車の上部を狙い、弱点を突く「トップ・アタック」をするとはいえ、ジャベリンはそのまま直撃するタイプです。しかし、NLAWは目標には直撃せず、命中直前に起爆しながら、戦車の上から爆発力を押し流します。
普通は直撃させた方が効果的ですが、戦車の上部は装甲が薄く、真上で起爆させても、十分な貫通力を発揮できるそうです。
また、ジャベリンはトップ・アタックでは150m以下の距離では使えず、対するNLAWは約20mでも使用できるゆえ、近距離攻撃ではNLAWに軍配が上がります。
ここで注意したいのが、NLAWにダイレクト・アタックという、目標に直撃するモードがある点です。
ただ、前述のような直上起爆が設定されており、直撃ではジャベリンほどの効果はなく、装甲のないトラックなどに使われてきました。
以上が主な相違点ですが、ほかにもNLAWの方が10kgほど軽かったり、価格面では安かったりします。したがって、対戦車戦に限ると、NLAWの方が費用対効果がよく、ジャベリンよりは数をそろえやすい兵器です。
いずれにせよ、NLAWは実戦で多くの戦果をあげて、ロシア軍の作戦計画を大きく狂わせた要因のひとつです。本来の役割を果たしたのみならず、ジャベリンに負けないぐらいの性能を証明しました。

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