高性能だが、輸出は苦戦?
戦車としては「第3.5世代」にも分類されるルクレールは、今までに約800両が生産されて、うち半数はフランス陸軍が保有しています。しかし、現役なのは220両ほどにとどまり、残りは予備兵器として保管されている状態です。
初期と比べて防護装甲力を高めるのみならず、敵味方識別装置やNBC兵器も想定したエアコンを追設した発展改良型も登場するなか、現在はネットワーク機能を飛躍的に高めた「ルクレールXLR」が開発されました。
このルクレールXLRは「第4世代戦車」に分類されるため、いま使っている旧型タイプのうち、約200両をこちらにアップグレードする予定です。
ルクレールXLRのイメージ図(出典:フランス陸軍)
フランス以外ではアラブ首長国連邦(UAE)が350両近くを運用中ですが、こちらは整備性を高める目的で、その動力をディーゼル・エンジンだけにした「トロピック・ルクレール」という仕様になります。そして、このタイプは同じ中東のヨルダンもUAEから約80両の中古をもらって運用中です。
このようにルクレールは中東でも運用されているものの、同じ欧州産のレオパルト2戦車と比べて高額であるため、販売実績では遅れをとっています。
レオパルト2も最新型となれば約12〜13億円まではね上がりますが、フィンランドやポーランド、オランダなどが導入したモデルは1両あたり約7億円でした。
そもそも、レオパルト2は冷戦後にドイツ本国で大量に余っていたことから、これらを欧州各国に安売りしてその後の「お得意さま」にした経緯があります。しかも、戦車としては優れた拡張性を持ち、ドイツ側も柔軟なサポート体制で相手を満足させました。
これに対して、ルクレールは設計に余裕があるとは言えず、すでに欧州標準戦車の地位を獲得したレオパルト2に対抗するのは困難です。しかも、今後はポーランドが爆買いした韓国の「K2戦車」もライバルになるので、輸出実績を拡大するならばニッチな地域を狙うしかありません。
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