値段が高すぎる?フランス・ルクレール戦車の性能と評価

戦車
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開発時は最先端だったフランスの主力戦車

NATO加盟国でありながら伝統的に独自路線を貫くフランスは軍事面でもラファール戦闘機や空母シャルル・ド・ゴールなどの国産兵器を開発しましたが、陸軍も同様にフランス独自の「ルクレール」を主力戦車として運用中です。

第二次世界大戦のパリ解放でも活躍したルクレール将軍にあやかったこの戦車は、登場時はアメリカのM1エイブラムスやドイツのレオパルト2よりも新しく、技術的には当時の最先端を走っていました。

⚪︎基本性能:ルクレール戦車

重 量 57.4t
全 長 9.87m
全 幅 3.71m
全 高 2.92m
乗 員 3名
速 度 時速55km(不整地)
時速72km(整地)
行動距離 550km
兵 装 120mm滑腔砲×1
12.7mm重機関銃×1
7.62mm機関銃×1
価 格 1両あたり約13億円

従来のAMX-30を後継として誕生し、1992年より配備が始まったルクレールは当初フランスが目指していた西ドイツとの共同開発が頓挫した産物でもありました。

攻撃の要となる主砲は西側諸国の標準といえる120mm滑空砲を搭載しているものの、当時の戦車よりも長い口径を採用したため、砲弾の初速と攻撃力では西側随一の性能を誇りました。

レーザー測距儀や最大5kmまで探知できる暗視装置を使うことで優れた命中精度を発揮しますが、砲自体の安定性も良好なので走行しながらの精密射撃も可能です。

さらに、自動装填装置と砲弾種を管理するコンピューターによって装填時間を6〜8秒間に短縮するとともに、毎分12発の連続射撃と複数目標への対応が可能となりました。

砲弾は自動装填装置内に収められている22発と予備弾の18発を合わせた計40発が車内に搭載されており、NATO基準の全砲弾に対応しています。

こうした攻撃能力に加えて、ルクレールは最初から電子機器関連も充実しており、しかも予備の機器まで搭載する力の入れっぷりです。

そして、今では当たり前となったデータリンク機能も当初から盛り込んだ高性能戦車として注目を集めました。

射撃するルクレール戦車(出典:フランス軍)

一方、防御力に関しては厚さ30〜50mmの防弾鋼板を施していますが、砲塔側面はのちに日本の10式戦車でも採用されたモジュール化したセラミック複合装甲で強化しました。

これによって被弾して損傷した部分を簡単に取り外して交換できるようになりました。他にも「Galix」と呼ばれる防護システムを装備しているため、状況に応じて煙幕やフレア、歩兵を攻撃する擲弾などを発射して車体を防御します。

また、ルクレールは55トン以上の重量を持ちながらわずか6秒程度で時速30kmまで一気に加速でき、不整地でも最高時速55kmを発揮しますが、これを支えているのがディーゼルとガスタービンを組み合わせた独自の複合エンジンです。

この高出力エンジンはルクレールを重量の割に高い機動力を持つ主力戦車にする一方、複雑なシステムであることから整備および修理面では手間がかかります。

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