全然足りない?自衛隊サイバー防衛隊の編成とその実力

パソコンを操作する自衛官たち 自衛隊
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欠かせない人材確保

このような経緯をふまえて、まずはサイバー防衛隊を2,200人まで拡充したあと、最終的には4,000人体制を目指します。

各地から電波や通信に詳しい隊員を集めながら、なるべく既存人員で再編するつもりですが、十分なサイバー人材の確保は厳しい状況です。

もちろん、サイバー教育を通して育成すべく、各種学校で関連機材を導入したり、防衛大学校の情報工学科を「サイバー・情報工学科」に改編する予定です。しかし、教育成果が出るまで時間がかかり、適性がある自衛官もそう多くはありません。

すでに中国は17.5万人のサイバー部隊を持ち、攻撃専門員だけでも3万人はいます。あの貧しい北朝鮮でさえ、約7,000人のサイバー部隊を運用しており、日本はかなり出遅れている格好です。

結局のところ、自衛隊内の採用・育成だけでは到底足りず、いわゆる「ホワイト・ハッカー」を含む民間人材に頼るしかありません。

したがって、防衛省は高度な専門知識のある人材を募り、「特定任期付自衛官」として採用する方針を決めました。これは任期付きで民間から出向する形になり、通常の自衛官・事務官より高待遇になるそうです。

まっとうな方針とはいえ、高度なサイバー人材は引く手あまたなうえ、民間市場では年収2,000〜3,000万クラスで待遇されています。一方、防衛省は事務次官の年収が2,300万円にすぎず、わざわざ自衛隊を選ぶ理由は少ないのが実情です。

「国防に燃えて」「国家のために」という淡い期待もありますが、これは国主導のやりがい搾取にすぎず、本来あるべき姿からは乖離しています。

ようやく反撃可能に?

ところで、サイバー防衛隊は長らく防御はできたものの、攻撃元に対する反撃は「防衛出動」にあたり、法律上の制約で不可能に近い状況でした。当たり前ながら、サイバー戦で防衛出動を待っている時間はなく、実際には反撃できなかったわけです。

さらに、従来は電力系統や民間通信網など、重要インフラが防護対象になっておらず、敵の攻撃に無防備な状態でした。戦争になれば、相手は当然のごとく民間インフラも狙い、結局は軍隊が重要インフラを守らねばなりません。

こうした脆弱性を克服すべく、2025年には「能動的サイバー防御」の法案が通り、新たに攻撃元にアクセスしながら、無害化できるようになりました。独立機関の承認がいるとはいえ、防衛出動よりは圧倒的に時間が短く、反撃に向けて大きく前進しました。

また、経済安全保障の一環として、重要なインフラ事業者と協定を結び、通信情報を取得して監視したり、事前審査制度の対象を広げて防護対象にする方針です。

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