ドイツ海軍のF126型フリゲートに秘められた性能

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出典:ダーメン社
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1万トンの多目的戦闘艦

ドイツといえば陸軍のイメージが強く、対する海軍は2つの世界大戦でその脅威を知らしめたUボート、潜水艦の印象がいまも残っています。

そんなドイツ海軍は新たに「F126型」という次世代フリゲートを建造しており、2028年から合計4隻が就役予定です。

ただし、この新型艦はフリゲートでありながら排水量は1万トン超えとなり、ドイツにとって戦後最大の軍艦になりました。

⚪︎基本性能:F126型フリゲート

排水量 10,550t
全 長 166m
全 幅 21.7m
乗 員 198名(最小114名)
速 力 26ノット(時速48km)
兵 装 127mm速射砲×1
垂直発射装置×16
NSM対艦ミサイル×8
SeaRAM×2
27mm機関砲、12.7mm機関銃
艦載機 哨戒ヘリ×2、無人機
建造費 1隻あたり約2,000億円

1番艦の名から「ザールラント級」とも呼ばれる新型フリゲートは、その大きな船体に多くの装備を詰め込み、多目的戦闘艦として使えるように設計されました。

防空向けの垂直発射装置(VLS)は16セルとなっているものの、1セルあたり4発のESSM対空ミサイルを搭載できるので、最大64発もの中距離対空ミサイルを運用可能です。一方、対艦兵装には対地攻撃にも使えるNSMステルス・ミサイルを選びました。

F126型のイメージ図(出典:独ダーメン社)

さらに、F126型はさまざまな目的を果たせるように「ミッション・モジュール」というコンセプトを採用しました。

これは任務に合わせて装備を取り換えるもので、対潜水艦戦や機雷戦、特殊部隊の支援、不審船の海上臨検を想定したモジュールが用意されています。例えば、対潜版には曳航式ソナーが、特殊部隊向けのものには海中潜入に備えた減圧室がついています。

任務によってモジュールを組み合わせる手法は、かつてアメリカが目指して失敗した「沿海域戦闘艦(LCS)」でも見られたもので、ドイツの試みが同じ結果にならないかは気がかりです。

長期の海外派遣を想定

さて、陸軍国のドイツがわざわざ1万トン超えの多目的戦闘艦を建造したのは、海外での長期活動を見据えてのことです。

F126型フリゲートは4ヶ月ごとに乗組員を交代しながら、最大2年間は本格整備なしで活動できるため、アフリカ沖での海賊対処・商船護衛任務、長期間の警戒監視や海洋調査などに投入される予定です。

アジア太平洋地域への関与を強めている最近のドイツを考えれば、この新型フリゲートは日本にもやってくるかもしれません。

このように国際貢献活動を担う存在として期待されている反面、そのコストは1隻あたり約2,000億円にまで膨らみ、財政難に悩むドイツにとってはかなりの出費です。

そして、前の「F125型」がトラブルを起こしまくった結果、ドイツ海軍でさえ受取拒否をした苦い経験があります。もし、2,000億円もかけて似た結末になれば、取り返しのつかない事態になるのは間違いありません。

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