なぜ北朝鮮は核兵器を開発をするのか?

北朝鮮のミサイル 外国関連
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おいしい外交カード

一方、視点を国外に移すと、北朝鮮の核開発は国際社会からの反発を招き、国連にとる経済制裁と国際的孤立につながりました。

これにより経済がさらに貧しくなるなか、北朝鮮は核兵器を放棄するどころか、逆に開発を加速させました。これは前述の安全保障上の理由もさることながら、核開発そのものが外交カードとして使えるからです。

米朝首脳会談の様子取引材料にして米朝首脳会談も実現

これまでも、核実験やミサイル発射を行い、アメリカや韓国、日本との交渉において有利な条件を引き出そうとしてきました。

相手を脅したあと、少し態度をやわらげて、最終的には譲歩を引き出す。

いわば、瀬戸際外交による経済援助や制裁緩和を実現すべく、北朝鮮にとって核兵器は欠かせない交渉材料になりました。

1990年代〜2000年代に比べて、最近は通用しづらくなりましたが、それでも核開発をテーブルに並べた結果、2018年には史上初の米朝首脳会談を実現しました。

今後の行方について

では、日本を含む周辺国はどうすべきなのでしょうか。ここではいくつかの展望を探っていきたいと思います。

体制保証しても無駄?

まず、北朝鮮の目的が対米抑止・体制維持である以上、自分から核兵器を手放す可能性はありません。

金一族による支配体制が保証されたら、核開発の動機はなくなりますが、これはほぼ不可能です。

なぜなら、そのような保証を信じる理由がないから。リビア(カダフィ大佐)のような前例をふまえれば、核兵器を手放したあと、アメリカが北朝鮮を潰しかねません。少なくとも、北朝鮮はそう考えています。

北朝鮮の弾道ミサイルの射程図北朝鮮ミサイルの射程図(出典:防衛白書)

では、同盟国の中国による体制保証はどうか。

たとえば、中国軍が北朝鮮国内に駐留すれば、アメリカに対する抑止力となります。北朝鮮を攻撃すれば、自動的に中国軍も巻き込まれるため、アメリカも動けません。

これは在韓米軍・在日米軍と同じ役割を、中国軍に果たしてもらい、結果的に相互抑止で安全保障を保つ形です。同時に中国の核の傘に入れば、わざわざ核兵器を持つ理由はなくなります。

残念ながら、これは理想論であって、現実の北朝鮮政権にとっては受け入れられません。前述のとおり、同盟国・中国に対しても不信感を持ち、そもそも国内に外国軍を駐留させるなど、自主・自立・自衛の主体思想に大きく反するからです。

戦略的忍耐しかない?

自主的に放棄しないなら、強要するしかありませんが、この選択肢も現実的ではありません。

いまだソウルが長距離火砲の射程圏内にあり、日本の首都圏も短・中距離ミサイルに狙われていることを考えると、アメリカも簡単には動けません。なにせ、日韓という重要な同盟国が人質に取られている状態ですから。

たとえば、1994年にクリントン政権が核施設を空爆しようしたところ、ソウルへの報復を恐れた韓国側が引き止めました。

したがって、この30年間は有効な手は打てず、ほぼ何もせずに相手の変化に望みを掛ける「戦略的忍耐」を続けてきました。その間に経済制裁を強めたり、日米韓での連携を進めるなど、ある意味で現実に即した方針をとっています。

ただし、これらはあくまで対処療法的なアプローチであって、別に北朝鮮の核開発を止めるものではなく、根本的解決にはいたりません。

すでに北朝鮮は核保有国としての地位を固めており、あとは核兵器の技術的進歩を少しでも遅らせたり、使わせないようにするしかありません。

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