K9ファミリーの最新形
ロシアのウクライナ侵攻を受けて、世界全体が軍備拡張に向けて進み、東アジアも例外ではありません。特に韓国は世界屈指の陸軍力を誇り、長らく北朝鮮と対峙してきた関係から、兵器の開発・生産能力を維持してきました。
現在の韓国産兵器は評判が良く、海外への輸出に成功しています。これら「K兵器」のうち、K9自走砲は11カ国と契約を結び、約2,000門が売れるなど、最も人気がある自走砲の一つです。
そんなK9シリーズの最新型として、新たに装輪式の「K9MH」が登場しました。
- 基本性能:K9MH自走砲
| 重 量 | 約40t |
| 全 長 | 12m |
| 全 幅 | 3.4m |
| 全 高 | 2.73m |
| 乗 員 | 3名 |
| 速 度 | 時速100km |
| 行動距離 | 約700km |
| 兵 装 | 155mm榴弾砲×1 |
| 射 程 | 通常弾:約40km 延伸型:約70km |
| 発射速度 | 毎分8〜9発 |
| 価 格 | 約4.5億円 |
まず、K9MHは「K9A2」の砲システムを流用しながら、それまでのキャタピラ式ではなく、装輪式(タイヤ式)のトラックを使い、その荷台に155mm榴弾砲を載せました。
装輪式はキャタピラ式と違って、舗装道路での移動速度が速く、整備性と燃費が優れています。しかし、舗装路以外(不整地)では機動力が落ち、平原や泥濘地ではキャタピラの方が有利です。
では、なぜあえて装輪式を選んだのか?
それはロシア=ウクライナ戦争が砲兵戦を一変させたから。
すぐに対砲兵レーダーで探知されるうえ、常に上空をドローンが飛んでいる限り、現代戦では砲撃直後に移動せねばならず、機動力が勝敗を分けてきました。陣地からすばやく離脱しなければ、たちまち敵の反撃を受けてしまい、以前よりリスクが高まりました。
この撃ってすぐ逃げる戦術を、「シュート・アンド・スクート」と呼び、これにはキャタピラの重装甲車両よりも、軽量な装輪式車両の方が適しています。
だからこそ、世界各国でトラック型の自走砲開発が進み、スウェーデンの「アーチャー」、フランスの「カエサル」、ウクライナの「ボグダナ」など、いまや当たり前の存在になりました。
このような世界的トレンドのなか、韓国も最新型に装輪式自走砲を選び、シュート・アンド・スクート戦術に呼応したわけです。
20秒で撃って50秒で逃げる
K9MHは装甲防護力を犠牲にしたものの、舗装道路を最高時速100kmで走り、停車後は20秒以内に砲弾を放ち、50秒以内に陣地から離脱できます。これは車体全体の軽量化に加えて、高性能な自動装填装置を組み込み、砲塔を無人化した結果です。
このとき、乗員は車外に出て砲弾を運ぶ必要がなく、前方キャビン(軽装甲)にいたまま、装填から発射まで操作するため、展開・撤収時間を劇的に短縮しました。
驚異的な展開・撤収速度とともに、毎分8〜9発の連射能力を持ち、通常弾の射程は40kmとはいえ、ロケット推進型の精密誘導弾を使えば、最大70km先まで届きます。
ただし、実際の携行弾数(40発)を考えると、連射ではすぐ撃ち尽くしてしまい、毎分9発の勢いは維持できません。
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