悪路を難なく進むキャタピラ式のダンプは陣地構築に欠かせない
上陸した敵を食い止めるための防御陣地を重視する陸上自衛隊にとって、トラックが進めない山間部や泥濘地に必要資材を輸送できる資材運搬車は必須装備のひとつで、小ぶりでかわいい見た目にも関わらずどこでも活躍することから一部では最も頼りになる存在と評価されています。
重 量 | 約5t |
全 長 | 4.3m |
全 幅 | 2.15m |
全 高 | 2.18m |
乗 員 | 2名 |
速 度 | 時速20km |
積載量 | 約3t |
価 格 | 1両あたり約1,400万円 |
1990年から配備が始まった資材運搬車は土木建設機械の株式会社「諸岡」が製造するキャリアダンプで、耐久性に優れたゴム製キャタピラは不整地での高い走破能力を持つのみならず、最大30度もの傾斜や水深の浅い河川、幅1mの塹壕をも超えられます。そして、荷台には物資や弾薬を3トンまで載せられますが、最大2トンまで吊り上げられる備え付けクレーンを使った効率的な積載が可能です。
また、小型で軽量なことから73式大型トラックで長距離輸送できる資材運搬車は小回りの効く機動性に加えて、車幅も約2mなので他の車両が入れない細い空間を難なく進めます。そのため、山間部の隘路はもちろんのこと、災害派遣においても瓦礫や土砂が散乱する被災地に投入されて常に活躍してきました。このように資材運搬車を投入すれば大概の作業は万事解決するので、演習場整備や陣地構築に注力する陸自では施設作業車とともに重宝されており、値段も安いので全国の普通科・施設科部隊に多数配備されています。
さらに、優れた不整地走破能力と作業性で陸自の諸活動を支えていたこの車両は、ロシアの侵攻を受けるウクライナに供与される目玉装備としても改めて注目されました。小さいながら力持ちな資材運搬車は泥濘地の多いウクライナの大地には適した装備で、前線部隊の築城から戦後復興に至るまでの広範囲で役立つのは間違いなく、戦車などを提供できない日本にとっては支援品の目玉といえます。
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