実戦での証明と後継問題
アーレイ・バーク級は総合的に考えると、量産型としての信頼性・汎用性が高く、使い勝手が良いとの評価です。米海軍内では「十徳ナイフ」に例えるなど、どんな作戦に駆り出しても、十分に対処できると賞賛されています。
実際のところ、数々の軍事作戦に参加した結果、防空から対地攻撃にいたるまで、難なく任務をこなしてきました。直近の例でいえば、フーシ派の対艦ミサイル、多数の自爆ドローンと戦い、その防空能力を期待通りに発揮しました。
特に「カーニー」は2023年に9時間も戦い抜き、少なくとも4発のミサイル、15機のドローンを撃墜したそうです。約7ヶ月の航海全体をふり返ると、「カーニー」は50個以上の目標を迎え撃ち、弾道ミサイルも撃ち落としました。これは第二次世界大戦以降、最も戦った米海軍の軍艦になり、アメリカの海軍史に名を刻みます。
激戦を戦い抜いた「カーニー」(出典:アメリカ海軍)
ほかにも、2026年の対イラン戦において、アーレイ・バーク級はSM-3/SM-6ミサイルを放ち、イランの弾道弾を実戦で迎撃しました。
最近まで本格的な防空戦を経験せず、実戦能力を疑問視する声があったものの、中東での対空戦闘と戦果により、防空艦としての性能は証明されました。
それゆえ、すでに30年が経つにもかかわらず、アーレイ・バーク級の発展は止まっておらず、計90隻以上が建造されてきました。現在は10隻が建造中、13隻が発注状態とはいえ、近年のインフレで建造費は約3,200億円までふくらみ、かつてほどコスパが良くありませんが。
アーレイ・バーク級を大きく分類すれば、フライトⅠ(初期型)・Ⅱ・ⅡA・Ⅲの4世代があり、それぞれで装備と能力が異なります。
たとえば、フライトⅡA以降ではヘリ格納庫が加わり、前述のように対艦ミサイルをNSMに、対空ミサイルをSM-3/SM-6に変更しました。VLSの数も90から96セルに変わり、ESSMはひとつのセルに最大4発は入るため、全体の搭載数は増えたといえます。
また、最新のフライトⅢになると、「AN/SPY-6」という新世代のレーダーを積み、探知能力が旧型の約35倍に向上したほか、新しい弾道ミサイルにも対応しました。一部は実証実験も兼ねて、レーザー兵器や対ドローン装置を使い、次世代兵器の検証を実施中です。
最新のフライトⅢ(出典:アメリカ海軍)
一方、本来であれば「ズムウォルト級」駆逐艦、「DDG(X)」で更新すべきところ、これら建造計画は失敗に終わってしまい、現状ではまともな後継がいません。
後継案が相次いで失敗するなか、米海軍はアーレイ・バーク級の改良でしのぎ、なんとか食いつなぐつもりです。
あまりにアーレイ・バーク級の使い勝手がよく、総合性能では洗練されているがゆえ、どんな後継候補に取り組んだとしても、その運用実績を超えるのは困難でしょう。
さはさりながら、どんなに拡張性があっても、いずれは発展の限界を迎えてしまい、設計的にある程度「完成」している以上、アーレイ・バーク級もそろそろ厳しい頃合いです。


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