なぜ特別扱い?トランプが日本に「甘い」3つの理由とは

日米首脳会談 アメリカ
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日本は「必要」だから

最後の点は、地政学上の重要性です。

アメリカは中国を脅威とみなして、主に台湾有事に焦点を絞りながら、対中国戦の準備を進めています。

ところが、中国の経済成長と軍事力増強、アメリカの相対的な衰退にともなって、約20年で米中の差は縮まりました。西太平洋に限っていえば、中国軍が米軍を局地的には上回り、アメリカの優位性は揺らいでいます。

本来はロシアも脅威とはいえ、ウクライナ侵攻で泥沼の消耗戦に陥り、アメリカを脅かす余力はありません。核兵器こそあれども、通常戦力は損害がひどく、自慢の装甲戦力は大打撃を受けました。

しかも、欧州勢が真面目に取り組めば、核兵器以外ではロシアを上回るため、アメリカは対露抑止を欧州に任せて、対中国に専念したいのが本音です。

NATOはアメリカを除いても、31カ国のメンバーがいますが、アジア太平洋はどうでしょうか?

対中国でアテにできそうな国といえば、日本・オーストラリア・韓国・フィリピンぐらい。このうち、日本は経済力・軍事力とともに、地理的に台湾有事で最も役立ち、特に在日米軍基地は欠かせません。

アメリカのシンクタンク(CSIS)の報告書によると、台湾有事で米軍が敗北するシナリオは数例しかなく、その全てが日本が協力しなかった場合。自衛隊の戦力もさることながら、日本が提供する基地は絶対に必要であり、これが使えないと台湾は陥落します。

言いかえると、アメリカの対中国戦において、自衛隊の参戦は十分条件ですが、在日米軍基地は「必要条件」です。日本の協力(日米同盟)なしでは戦えず、台湾有事でアメリカは敗れてしまい、防衛線がハワイまで後退しかねません。

アメリカは世界中に同盟国はあれども、日本は巨大な原子力空母を修理できる軍港、大量の燃料・弾薬を保管した貯蔵施設、地域最大級の飛行場を提供するなど、ほとんど代えが効きません。

絶好の場所に戦力投射の拠点を持ち、そこで問題なく補給・整備もできるからこそ、わざわざ太平洋を渡らずに済み、すばやく台湾有事に対処できます。

横須賀海軍基地横須賀の海軍施設(出典:米海軍)

さらに、日本は政情不安の心配もなく、歴代政権は一貫して日米同盟を守り、この政治的安定性を加味すれば、その存在価値と優先順位は高いです。

日米同盟の話になると、果たしてアメリカは日本を助けるか、という疑念が出るものの、日本がアメリカを必要とするように、アメリカも日本の協力が必要です。

この大前提はトランプも認識しており、対中国で旗幟が不明な欧州はともかく、日本「は」必要だと分かっています。

すなわち、あのトランプでさえ、日本は邪険には扱えず、対中国では頼らざるを得ません。もし日本を困難な状況に追い込み、アメリカから離反でもすれば、対中国戦略は崩壊するからです。そうなれば、アメリカは西太平洋での立場を失い、80年前の太平洋戦争を勝ち抜き、せっかく築いた勢力圏を喪失します。

予測不能なトランプであっても、少なくともこの点は理解しており、ことあるごとに不満は述べても、対日関係では比較的慎重になるしかありません。

ただ、これは別に嬉しいことではなく、そこまで安全保障情勢が悪化した裏返しです。

米中の相対的な国力差が縮まるなか、かつてないほど日本の利用価値が高まり、それをあのトランプでさえ認識しています。

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