イギリスが試す新兵器
いまや戦場では無人機が飛び交い、歩兵も戦車も自爆ドローンにより、次々と撃破されてきました。特に小型・高速型への対応は難しく、対ドローン兵器の開発が急がれています。
こうしたなか、イギリスでは即応的な対処能力を狙い、「ラピッド・デストロイヤー」という新兵器を実験中です。これはフランスのタレス社が中心になり、共同開発された対ドローン兵器ですが、その名のとおり、すばやく破壊する能力を目指しました。
具体的にいうと、トラックに妨害電波の発生・指向装置を載せて、高出力のマイクロ波(電磁波)を出しながら、多数の目標を無力化する仕組みです。このとき、内蔵の電子機器を破壊すべく、一点に電磁波を集中させます。
実験では同時に8機以上が連続で迫るなか、繰り返しの撃破に成功しており、100機以上のドローンを倒しました。最大射程は1kmとはいえ、電源の供給さえあれば、そのまま連続発射できるため、その範囲内のドローンは次々と撃ち落とせます。
圧倒的すぎるコスパ
なんと言っても、1発あたり「20円」しかかからず、まさに抜群の費用対効果を誇ります。対ドローンに限らず、防空では費用対効果の問題がついてまわり、高価な対空ミサイルでの迎撃は割に合いません。
各国ともいい塩梅の対策を探すなか、古い機関砲に再び注目が集まり、レーザー兵器なども期待されています。電磁波攻撃もひとつの対抗手段であって、アメリカでは手持ちの「ドローン・バスター」を導入しました。
ラピッド・デストロイヤーはその車両型にあたり、野外での大量攻撃に対処するなど、地上部隊の援護に投入されます。ただし、強い電磁波を出す関係から、市街地や住宅街では使えず、人体への影響も懸念されています。
一方、ほかの防空システムに組み込み、複合的・多層的な防空網を形成すべく、対空ミサイルやレーザー兵器と連携可能です。前述の費用対効果、あるいは適材適所を考えると、電磁波攻撃は対ドローンに主眼にしながら、近距離防空の担当になります。

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