意外に強い?イタリア海軍の気になる艦隊戦力について

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充実した艦隊戦力を誇る

近年は日本とイタリアの関係強化が進み、イギリスを交えて次期戦闘機を開発したり、イタリア海軍の艦艇が寄港してきました。

2026年には安全保障分野で連携するべく、日伊関係は「特別な戦略的パートナー」になり、お互いを地政学上の盟友として扱います。

両国関係の格上げにともなって、今後は自衛隊との共同訓練が常態化するほか、イタリア海軍の来日も増えますが、そんなイタリア海軍はどのような戦力を持ち、何を期待できるのでしょうか?

まず、一般的なイメージと違って、イタリア海軍は世界有数の規模を誇り、地中海ではフランスと並び、約36.2万トンの艦隊戦力を保有しています。

約3万人の兵員とともに、約200隻の艦艇と70機の航空機を使い、NATOの地中海戦力を担っており、その概要は以下のとおりです(建造中を含む)。

  • 空母×1
  • 強襲揚陸艦×1
  • ドック型輸送揚陸艦×3
  • 駆逐艦×3
  • フリゲート×19
  • 哨戒艦×9
  • 哨戒艇×6
  • 掃海艇×10
  • 潜水艦×8
  • 補給艦×3
  • 揚陸艇(中型・小型)×41

国土が南北に縦長い半島であるほか、多数の島々を領有しているためか、水陸両用戦力が充実しており、わりと高い揚陸能力を持っています。

また、NATOの地中海艦隊の一翼を担い、地中海を活動の場にする以上、北アフリカや中東への展開を想定せねばならず、結果的に揚陸戦力の整備につながりました。

一方、イタリアは貴重な空母保有国でもあり、現在は「カヴール」だけとはいえ、「トリエステ」は単なる強襲揚陸艦ではなく、事実上の軽空母として設計されました。実際にF-35B戦闘機を搭載するため、「トリエステ」は空母に分類されることが多く、かなり強力な航空戦力を運用できます。

イタリア海軍の艦隊水陸両用戦力は充実(出典:イタリア海軍)

全体的な戦力状況でいえば、冷戦終結後は予算難に苦しみながらも、他のヨーロッパ諸国に比べると、艦隊戦力の維持・強化には成功しました。

あのイギリス海軍が予算不足、稼働率の低下に悩み、大きく衰退した点を考えると、イタリア海軍はよく頑張っている方です。艦隊の規模・稼働状況に限ると、いまやイギリス海軍との差は縮まり、NATO内での存在感と地位は向上しました。

しかも、最近は艦隊の近代化に取り組み、約50隻の老朽艦を退役させる代わり、30隻の新鋭艦を建造します。これらの新型艦はマルチ能力を持ち、艦艇の総数こそ削減すれども、全体の能力は引き上げる予定です。

本来の役割は対ロシア

さて、イタリア海軍はフランス・スペインとともに、NATOの地中海艦隊の主力にあたり、冷戦期はソ連を地中海から締め出していました。

ソ連海軍には黒海艦隊があったものの、トルコ(NATO加盟国)のボスポラス海峡、ダーダネルス海峡を通らねばならず、たとえ両海峡を突破できても、NATOの地中海艦隊が待ち構えています。

イタリア海軍はその一角を占めながら、ソ連海軍の抑止と封じ込めに貢献しました。現在も基本的な役割は変わらず、ロシア海軍の地中海進出を防ぎ、その動向に目を光らせています。

ところが、ウクライナに全面侵攻した結果、ロシアの黒海艦隊は損害が相次ぎ、母港のセヴァストポリから撤退しました。ロシア本国まで退いたにもかかわらず、無人水上艇などの攻撃に遭い、損耗率は戦力の1/3に達したとされています。

ロシア=ウクライナ戦争が続く限り、国際条約でトルコの両海峡は通れず、シリアのアサド政権の崩壊にともない、地中海の海軍基地を維持できるか微妙です。

北方に目を向けると、バルト艦隊はNATOに包囲されており、身動きがとれません。まだ北海艦隊は健在ですが、こちらは主にイギリス・ノルウェーが監視を行い、あまりイタリア海軍の出番はありません。

対中国で期待できる範囲

こうした現状をふまえると、イタリア海軍は本来の仮想敵を失い、アジアにふり向ける余裕が出てきました。

だからこそ、イタリアは日本まで空母「カヴール」を送り込み、インド太平洋への関与をアピールしています。このような動きは今後も強まり、イタリア海軍の往来は増えるとはいえ、実際に「対中国」で期待できるかは別問題です。

イタリアは中国を警戒していますが、派遣艦艇は台湾海峡を通過させないなど、イギリスよりは一定の配慮が目立ち、過度な期待はできません。

英仏独の艦艇派遣と同じく、イタリアの寄港は対中国のみならず、ロシアの太平洋艦隊をけん制したり、ロシアの後方(極東)を脅かす目的があります。中露の連携強化を受けて、日本とは利害が一致した形ですが、あくまで対中国は副産物にすぎず、対ロシアが優先なのは変わりません。

イタリア海軍の艦隊艦隊派遣を期待したいが(出典:イタリア海軍)

台湾有事の影響は欧州にも波及しますが、よほど死活的な問題と認識しない限り、対中国戦に「参加」はしません。日本が欧州に自衛隊を派遣しないのと同様、イタリアも台湾有事で援軍を送る義理はなく、外交面での支援が中心になります。

したがって、台湾有事で艦隊を派遣する可能性は低く、軍事面で望めるのは後方支援ぐらいでしょう。その最大値を列挙すると、ロシアのけん制、情報共有、軍事物資の融通、シーレーンの警戒監視など(これだけでも十分に助かるが)。

ただし、今後の取り組みで支援内容は変わり、日本が欧州への関与を強めれば、互恵主義に基づく関与を引き出す、あるいは「準同盟」を目指せるでしょう。

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