優秀すぎて後継いらず?ブローニングM2重機関銃のスゴさ

M2重機関銃 アメリカ
この記事は約3分で読めます。

最初から完成されていた

多くの工業製品は初期型ではなく、あとで登場したものが優れた性能を持ち、最新型で更新されてきました。

ところが、軍隊では「古い兵器」を好み、新型が負けてしまうケースがあります。その代表例が「M2重機関銃」であって、アメリカを筆頭に世界中が使う兵器です。

  • 基本性能:ブローニングM2重機関銃
重 量 本 体:38kg
三脚付:58kg
全 長 1.645m
口 径 12.7mm
装 弾 ベルト給弾式
発射速度 400〜750発/分
有効射程 1,800〜2,000m
価 格 約550万円(自衛隊向け)

第一次世界大戦で機関銃が猛威をふるい、「ブローニングM2」はその教訓をふまえて、銃器設計者のジョン・ブローニング氏が開発しました。

原型の重機関銃は1921年に登場するも、1933年に改良型が採用されて以降、ほとんど設計を変えることなく、今日まで使われてきました。大口径で高威力の12.7mm弾を使い、地上戦での対人・対車両攻撃はもちろん、対水上から対地、対空射撃もできるなど、抜群の汎用性を獲得しました。

M2の対空射撃(出典:陸上自衛隊)

それゆえ、西側諸国では装甲車や戦車、水上艦艇、ヘリコプターなど、あらゆる場所に組み込み、最も身近な機関銃といえるでしょう。

射撃時は通常の引き金ではなく、「逆Y字型」のトリガーを親指で押す形になり、ベルト給弾で連続射撃を行えます。地上戦で用いる場合、射手と給弾係の2名体制で放ち、車両と航空機、艦船搭載では単独運用が多いです。

毎分400〜750発の発射速度を誇るものの、実際は銃身の加熱を軽減するべく、5〜10発のバースト射撃を繰り返します。それでも、長時間射撃ができる支援火力であるため、いつも現場では重宝されてきました。

押して撃つトリガー(出典:アメリカ軍)

あえて欠点を指摘するならば、重量が約40kgもあることですが、重い銃身は射撃時の反動を抑え込み、高い安定性と命中精度をもたらしました。しかも、重機関銃にしては発射速度が遅く、有効射程が長いことから、長距離狙撃でも戦果をあげています。

また、シンプルな構造で整備しやすく、動作不良を起こしにくいため、これ以上ない信頼性を勝ち取りました。とりあえず潤滑油を差しておけば、問題なく使える利点を持ち、余裕のない戦場ではまさに適任の装備です。

この安定性と信頼性、完成度の高さを受けて、累計生産数は300万以上にのぼり、いまなお世界100カ国近くで使われています。

日本では自衛隊と海上保安庁が使い、1985年から住友重機械工業がライセンス生産するも、住友製は本家と違って現場からの評判が悪く、動作不良を起こしやすいとのことです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました