自衛隊の評価は?20式小銃の配備状況とその欠点について

陸上自衛隊
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より柔軟、多用途に

自衛隊全体では89式小銃を主力として使うなか、2020年には31年ぶりの新型小銃が登場しました。それが「20式小銃」であり、先代に引きつづいて豊和工業がその開発・製造を担当しました。

  • 基本性能:20式 5.56mm小銃
重 量 3.5kg(本体のみ)
全 長 0.85m(0.78mに短縮可)
口 径 5.56mm
発射速度 毎分650〜850発
有効射程 約500m
装弾数 30発
価 格 1丁あたり約30万円

陸上自衛隊は2010年代から新型小銃を模索してきましたが、外国製を含めた数種類を比較検討したところ、「HOWA 5.56」という試作品が正式採用されました。

サビにくいステンレス材料とコーティングを使い、海水やドロに強いことから、離島防衛を目指す陸自にはぴったりの小銃になりました。

上部や側面にあるレールを使えば、照準器とライト、グレネード・ランチャー、グリップなどを追加できるため、89式よりもカスタマイズしやすく、任務に応じた多用途性を確保しています。

また、屋内戦闘などを意識して調整可能な銃床(ストック)を持ち、小銃自体も右利き・左利きの両方に対応しました。89式は長さを調整できず、左利きには対応していなかった点を考えると、より柔軟性が高いといえます。

20式小銃(出典:豊和工業)

一方、作動方式は89式小銃と同じガス圧利用となり、弾薬やマガジンも共通化させました。ただし、89式にあった3点バーストはなくなり、その射撃モードは単発と連射のみになりました。

銃床を折りたためなかったり、射撃モードの切り替え装置が等間隔ではなく、違和感を覚えるという声もありますが、全体としての評価は上々です。89式から軽量化や反動抑制を受け継ぎながらも、使い勝手や取り回しがよくなり、高い命中率も見込めるとのこと。

調達予定数は約15万丁

さて、高い拡張性・柔軟性を持たせて、島嶼戦向けに水はけをよくしたものの、その値段は約30万円とあまり変わっていません。

89式小銃は陸自で約14.5千丁が調達されてきましたが、20式小銃も約15万丁を予定しており、すでに水陸機動団のような離島防衛部隊には配備されました。

20式小銃を使う水陸機動団(出典:陸上自衛隊)

今後、普通科連隊を中心に配備が進み、後方支援部隊に届くのはしばらく先になるでしょう。ただ、近年の安全保障環境と防衛費増額を受けて、89式小銃よりは調達ペースが速く、2025年度の予算では10,000丁分も計上しました。

陸自以外でも、海上自衛隊・航空自衛隊に数十丁が納入されてきましたが、これもそれぞれ200丁、2,000丁に引き上げられています。ちなみに、これら組織では89式すら満足に配備されておらず、いきなり64式小銃からの飛躍的進化になります。

いずれにせよ、新しい20式小銃の登場によって、自衛隊は先進諸外国に再び追いつき、現代戦闘により対応した小銃を手に入れました。

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