台湾有事の日本への影響、自衛隊の役割とは何か?

台湾有事のイメージ 外交・安全保障
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なぜ「台湾有事=日本有事」

中国では軍備拡張が急速に進み、比例して台湾有事の可能性が高まっています。

中国は1950年代から「台湾統一」を掲げており、台湾が独立の兆しを見せれば、武力侵攻すると公言してきました。以前はそれを実行する能力がなく、介入してくるアメリカに対して、とても太刀打ちできない状況でした。

ところが、1990年以降の急激な経済成長にともなって、中国軍は爆発的な近代化・能力向上を果たしました。全ては台湾侵攻に備えるとともに、アメリカの介入を防ぎ、米軍を撃退するのが目的です。

台湾は九州ほどの大きさを持ち、長らく侵攻に備えてきた以上、実際に制圧できるかは怪しいものの、中国は台湾平定の野望を捨てておらず、着々と準備を進めています。

では、台湾有事が起きたとして、なぜ日本に関係あるのか?

海上交通路への脅威

正式な国交がないとはいえ、台湾は事実上の隣国・友好国にあたり、日本のシーレーン途上にある島です。ここを中国が抑えてしまうと、日本の海上輸送路は彼らの手に落ち、まさに生命線を脅かされてしまいます。

そして、台湾という不沈空母が手に入れば、沖縄と小笠原諸島への脅威が増すほか、西太平洋は中国軍の跋扈するところになるでしょう。

台湾有事の地図 日本のシーレーンは台湾付近を通る

ここだけを見ると、「実害」はないと思うかもしれません。

しかし、いつ海上交通路を遮断されるか分からず、敵性国家に脅かされるのは致命的です。

仮に台湾を迂回する航路になると、現在より3〜4日は航海時間が延び、その分だけの輸送コストは増えます。これが有事(戦時)だと、エネルギーの安定供給は危機に陥り、あらゆる物価の上昇はもちろん、経済活動そのものが危ぶまれます。

太平洋戦争をふり返ると、日本のシーレーンは壊滅状態に陥り、保護の重要性を痛感しました。その教訓をイヤというほど知るなか、今度は中国が日本の生命線を握り、「生かさず、殺さず」にされかねません。

中国にとって台湾は「核心的利益」なれども、日本にとっては死活問題なのです。

どのみち「戦域」にはなる

そもそも、台湾と与那国島は111kmしか離れておらず、沖縄は必然的に巻き込まれます。与那国は台湾を遠く見渡せる距離にあり、武力侵攻は言うまでもなく、台湾に対する海上封鎖を敷いても、直接的に火の粉が飛んでくる場所です。

日本の態度はどうあれ、先島諸島の上空は中国軍機が飛び交い、周辺海域は中国艦艇の活動範囲になります。そこでは中国・台湾の両軍が戦い、米中が衝突する可能性が高く、地理的に無関係では済みません。

台湾での軍事作戦を支援するべく、日本の離島の空港・港湾を狙い、一時的に占領するかもしれません。「空母いぶき」で似た状況がありましたが、先島諸島の地理的位置を考えると、作戦遂行上は魅力的な拠点候補です。

台湾有事の地図先島諸島は戦場に近すぎる

沖縄戦のような地上戦は起きづらいにせよ、南西諸島はあまりに想定される戦場に近く、中国軍の活動範囲と重なってしまいます。

明確な「戦場」とまではならずとも、事実上の「戦域」には該当するため、日本にとって他人事ではありません。

それゆえ、台湾有事は決して対岸の火事ではなく、火の粉が降りかかるどころか、日本(沖縄)まで余裕で延焼してきます。最初から存立危機事態にあたり、南西諸島に戦火が直接およべば、武力攻撃事態にならざるをえません。

ちなみに、日本政府は朝鮮半島と南シナ海も含めたうえで、地域全体をひとつの「戦域」と提唱しました。

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