不審船に殴り込む部隊
「自衛隊初の特殊部隊は?」と聞かれたら、みなさんはどう答えるでしょうか。
多くの人は陸上自衛隊の「特殊作戦群」を思い浮かべると思います。ところが、特殊作戦群が初めてではなく、2001年に発足した海上自衛隊の「特別警備隊」が先になります。
1999年の能登半島沖不審船事件をきっかけに作られたこの部隊は、英語名の「Special Boarding Unit(SBU)」が直訳すると特別臨検隊になるように、不審船や工作船などに対する強襲・立入検査が任務です。
能登半島沖の事件では北朝鮮船を追跡していた護衛艦が立入検査を計画したものの、船内にはまともな武器や防弾チョッキすらなく、海上臨検を行う専門部隊の必要性を痛感させました。
そこで、米海軍のネイビーシールズを参考にした特別警備隊を発足させて、米英の特殊部隊からノウハウを学んできたとされています。
海自の故郷ともいえる広島県・江田島に拠点を置き、約90名の人員が隊本部とその下にある4個小隊に所属していますが、自衛隊初の特殊部隊という事情もあって、訓練風景が公開されたのは一度のみです。
不審船・工作船を無力化する役割を与えられた一方、じつは「海上臨検」そのものは護衛艦の乗組員で編成する「立入検査隊」が担当します。この立入検査隊も能登半島沖の事件を受けて各護衛艦で新編されたもので、小銃や防弾チョッキなど最低限の装備が与えられました。
つまり、特別警備隊は対象船舶を制圧する一方、その後の臨検活動は護衛艦の立入検査隊が受け持つ形です。
とはいえ、これはあくまで前提の話であって、実際には特別警備隊がそのまま臨検するケースが考えられます。例えば、ソマリア沖の海賊対策では他国との共同作戦を通じて、特別警備隊が臨検活動をしている様子が確認されました。
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