洋上の迎賓館?海上自衛隊の特務艇「はしだて」が果たす役割

自衛隊の特務艇 自衛隊
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賓客をもてなす国際親善・海軍外交の舞台

海上自衛隊には護衛艦以外にも南極観測船音響測定艦など多種多様な艦艇がありますが、その中でひときわ異色なのが特務艇「はしだて」です。

まず、特務艇という名前からはどういう船なのか推測できませんが、一言でいえば式典やパーティを行うための「迎賓艇」になります。

⚪︎基本性能:特務艇「はしだて」

排水量 400t (基準)
全 長 62m
全 幅 9.4m
乗 員 29名
速 力 20ノット
(時速37km)
兵 装 なし
価 格 約21.2億円

特務艇「はしだて」は国内外の賓客を歓迎する式典や会食、会議等を行うための船であり、主にマスコミとの懇親会や来日した他国海軍の将校をもてなすために使われています。

軍艦で各国に寄港する海軍はその国の「顔」であり、特に将校は国を代表する「海の外交官」ともいえる存在。

そのため、平時には他の海軍将校と会議や懇親会を通じてコネクションを作り、礼節を持って応対せねばなりません。これは事実上の海軍である海上自衛隊も例外ではなく、「はしだて」はこうした海軍同士の重要な外交の場として活用されます。

クルーズ船のような外観の「はしだて」(出典:海上自衛隊)

海上自衛隊が面子をかけて賓客をもてなす場であるため、他の艦艇とは異なる豪華な作りとなっており、内装も「海の迎賓館」として恥ずかしくないようにホテル級のものを施しています。艇内にはロビーや20人ほどが入れる会議室及び休憩室が設けられており、災害時には対策本部としても活用可能です。

料理を筆頭とした「おもてなし」

目玉となるパーティや会食は味のある木製の甲板上に白いテントを張って開催され、最大130人ほどが参加できます。

このパーティで提供する料理には特に注力していて、海自内から選りすぐりの者を集めているので、「はしだて」での調理は給養員にとって最高の誇りとなります。

つまり、料理人として認められた、選ばれた者のみが「はしだて」で腕を振ることが許されるわけです。

提供される料理は相手やその日の気候によって変わりますが、和洋中のどれをとっても海自随一の調理員がプロ意識を持って作っているため、一流ホテル並みの味と盛付けを実現しているそうです。

また、来日した賓客に対しては「日本らしさ」を楽しんでもらうために寿司や天ぷら、海軍カレーが提供されることが多いとか。

ちなみに、海上自衛隊の公式Youtubeでは「はしだて」で提供されるスイーツのレシピが公開されており、海の迎賓館の一片を垣間見ることができます。

 

「はしだて」は護衛艦とは異なり、あまり出会えないレアな存在ですが、一般公開も時々しているので機会を見つけてはいかがでしょうか。または、マスコミの自衛隊担当になれば、乗艦の機会があるかもしれません。

現在、安全保障環境の悪化を受けてオーストラリア、イギリス、フランスなどのアメリカ以外の各国との結びつきも強化している自衛隊ですが、「はしだて」は日本を代表する外交「艦」としてその一端を担っています。

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