陸自の最新ヘリ、UH-2の気になる性能や装備について

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「UH-1J」の後継として

ヘリコプターで空中機動を行う陸上自衛隊では、CH-47J「チヌーク」のような大型輸送ヘリに加えて、汎用性に優れた「UH-1シリーズ」を愛用してきました。

こうしたなか、古くなった「UH-1J」を更新するために新しい多用途ヘリ「UH-2」が開発されて、2021年から配備が始まりました。そして、次期主力ヘリとしておよそ20年かけて約150機が生産される見込みです。

UH-1シリーズは半世紀以上も運用されており、いまも世界中で使われている名機ですが、航続距離がもの足りず、洋上飛行における不安定さも指摘されてきました。

いま運用しているUH-1Jのなかには、想定された耐用時間を超える機体も出るなど、自衛隊の航空輸送力を維持するためにも、後継機の調達が欠かせません。

この役割は本来は「UH-60JA」が担うべきだったところ、UH-1Jの3倍近い値段のせいで、全数更新とは遠い配備状況になりました。

そこで、防衛省が次に目をつけたのが「SUBARU（旧富士重工業）」とアメリカのヘリコプター大手「ベル社」が共同開発したUH-2というわけです。

これはベル社の「412 EPX」をベースにした機体ですが、汎用性・安定性では文句なしの性能を誇り、米軍や警察、民間企業で広く使われてきました。

UH-1との相違点についてみていくと、まずローター・ブレードを2枚から4枚に増やしたことで騒音や振動が少なくなり、弱点だった洋上飛行性能も向上しました。

そして、エンジンを単発から双発に変えて出力を高めつつ、航続距離と到達高度、輸送力も強化しています。

コックピットもディスプレイ化されたほか、新たに自動操縦装置やナビゲーション機能が追加されています。以前は手元の地図と眼下の地形を照合していたのを考えると、まさしく雲泥の差であり、周辺警戒や捜索活動に注力できるようになりました。

つまり、見た目こそあまり変化がないとはいえ、中身は大きな進化を遂げているのが特徴です。しかも、嬉しいことに価格も大差ありません。

新型のUH-2（左）と従来型のUH-1J（右）（出典：陸上自衛隊、筆者加工）

一方、ロシア＝ウクライナ戦争でヘリ全般が携行式対空ミサイルの餌食になったのを受けて、ミサイル警報装置とチャフ・フレア発射機を追加する案が出ています。

また、離島防衛への投入も見込まれるなか、廃止予定の戦闘攻撃ヘリに代わって、武装化させる構想もあります。これは必要に応じて武装キットを取りつける仕組みですが、果たして実現するかどうかは不明です。