チャレンジャー2の発展型
イギリスが自慢の「チャレンジャー2」を主力戦車として運用するなか、その更新時期を見据えて、新たに「チャレンジャー3」という次世代戦車を採用しました。
ただし、これはゼロから開発するのではなく、すでに配備中のチャレンジャー2のうち、148両を「チャレンジャー3」に近代化改修するものです。総額2,400億円をかけてドイツ企業とともに取り組み、2027年の初期配備を目指しています。
- 基本性能:チャレンジャー3戦車(確定情報のみ)
重 量 | 66t |
乗 員 | 4名 |
速 度 | 時速95km |
兵 装 | 120mm滑腔砲×1 |
車体の大きさはさほど変わらないものの、戦車砲はイギリスが伝統的に用いてきたライフル砲からNATO標準の滑腔砲に変更しました。これがチャレンジャー3における最大の改良点であって、こだわりの独自性を捨ててでも、NATO諸国との互換性を優先した形です。
砲塔には最新の赤外線カメラやデジタル化された射撃管制システム(FCS)を導入したほか、自動追尾機能と威力を増した新型NATO弾も装備しました。
一方、防御面は新たに開発された複合装甲、ロックオンを検知する警報装置、そして対戦車ミサイルを迎撃するアクティブ防護システムで強化しました。ほかにも、新型エンジンで燃費改善と高速化を実現しつつ、サスペンション換装によって走行中の射撃精度も高めるつもりです。
すなわち、主な改良点は以下のとおりになります。
- ライフル砲から滑腔砲への変更
- 新しい砲弾、複合装甲の採用
- デジタルFCS、警報システム、アクティブ防護装置の導入
- エンジンとサスペンションの換装
ライバル候補には劣る?
チャレンジャー3はいくつかのプロトタイプが完成しており、すでにドイツでの実証試験も始まりました。大規模アップグレードで2040年頃まで延命するものの、各国が開発中の新型戦車にはどうしても劣ってしまいます。
最新型のレオパルト2には引けをとらないとはいえ、性能的にはアメリカが開発している「エイブラムスX」やドイツの新型戦車「KF51パンター」にはおよびません。
厳しい予算事情から既存戦車の改修を選んだところ、その能力向上にはどうしても限界があるうえ、やはり新規開発にはかないません。
戦車に限らず、高性能兵器を単独開発できる国は少なく、独自兵器にこだわってきたイギリスもいずれは「脱・チャレンジャー」を余儀なくされるでしょう。
コメント