日米韓の安全保障関係と同盟の可能性について

日本、アメリカ、韓国の国旗 アメリカ
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文書化・定例化の試み

このように「日米同盟+α」のなかに韓国が入るのは自然な成り行きですが、問題は関係強化に一直線のオーストラリアとは異なり、韓国は政権交代や国内事情でいつも姿勢がブレることです。

ただし、現在の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は、異次元レベルの現実路線を進めており、その対日政策は評価されるべきです。

ユン政権は戦後最悪となった日韓関係の急速改善に取り組み、国内の激しい反発を受ける歴史問題で妥協してでも、日本との安全保障協力を優先しました。

そして、2023年8月の日米韓首脳会談では、実務者から首脳レベルにいたるまでの定例会談、共同演習の定例化、北朝鮮のミサイル情報の即時共有などで合意しました。

これはずっと目指してきたり、試みてきたことを正式に文書化したもので、定例化して後戻りできないようにしました。

歴史的な日米韓首脳会談(出典:首相官邸)

もちろん、以前も慰安婦問題や軍事情報保護協定(GSOMIA)で合意内容がひっくり返された「前科」があるため、今後については油断できません。おそらく、現在の岸田・バイデン・ユン政権ほど安定した日米韓関係はそう簡単には実現しません。

それでも、国際的な公式合意を破り、アメリカの面子をつぶす覚悟がいる点では、一定の効力はあるでしょう。

いずれにせよ、公式合意と連携協力の定例化によって、日韓関係を安定させる制度的基盤ができたわけですが、それはもはや過去を巡って争う余裕がないほど、情勢が切迫している裏返しといえます。

ヨーロッパでは「ロシアの脅威はポーランドがドイツの軍事力強化を要請するほど」といわれるなか、アジアでは「中国・北朝鮮の脅威は韓国が歴史問題よりも日本との関係強化を優先するほど」といわれそうですね。

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