99式弾薬給弾車の役割とその少ない調達数について

陸上自衛隊
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99式自走砲とのペアだった

ウクライナで激しい砲兵戦が繰り広げられた結果、自走榴弾砲に再び注目が集まり、高機動なトラック型とともに、装甲自走砲の重要性が再評価されました。

日本は99式自走砲を北海道に配備中ですが、その高い連続射撃能力を支えるべく、同時開発されたのが「99式弾薬給弾車」でした。

  • 基本性能:99式弾薬給弾車
重 量 33t
全 長 6.7m
全 幅 3.2m
全 高 3.1m
乗 員 2名
速 度 時速47km
能 力 155mm砲の弾薬×90発分
価 格 1両あたり約4億円

その名のとおり、自走砲に弾薬を補給するための車両ですが、実際は大砲などを引っ張る「73式けん引車」の派生型です。したがって、パーツの共通化で開発コストを抑えながら、けん引車由来の大きな馬力を獲得しました。

99式自走砲専用の給弾車両として、約90発分の弾薬を運べるほか、ベルトコンベアで作業効率を高めました。99式自走砲の後部に連結すれば、そのまま自動補給できるという仕組みです。

99式自走砲は自動装填装置を持ち、毎分6発の発射速度を誇るものの、車内には約40発分しかなく、連続射撃ではあっという間に減ります。それゆえ、長時間の連続射撃を行う場合、99式弾薬給弾車が同行せねばなりません。

本来は99式自走砲とペアを組むべく、同じ130両近くを量産するつもりでしたが、わずか24両に終わりました。これは厳しい予算のせいですが、結果的には自走砲あたり1両どころか、1個中隊につき1両となりました。

時代の変化で活躍が難しい

しかし、現代砲兵戦は対砲兵レーダーの進歩、ドローンの本格登場により、99式弾薬給弾車は活躍しづらくなりました。

ウクライナでの砲兵戦を見る限り、同じ地点での連続射撃はリスクが高く、よほど安全な状況下でしかできません。現在はすぐに位置が見つかり、そのまま自爆ドローンに攻撃されたり、対砲兵射撃による反撃を受けます。

現代砲兵戦では陣地変換が前提になる以上、弾薬給弾車が自走砲に連結しながら、連続射撃を支えるケースは少なく、むしろ誘爆しやすい格好の的になるでしょう。

このような実情をふまえると、自走砲側が比較的安全な後方まで下がり、そこで補給を受けるしかありません。前線まで届ける装甲輸送車としては使えますが、いずれにせよ活躍の場は少なくなりました。

また、最新の19式装輪自走砲は99式とは異なり、同じ地点での連続射撃は行わず、弾薬給弾車の同行は想定していません。そのため、99式弾薬給弾車の後継はなく、弾薬給弾車という存在自体が危ぶまれています。

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