人工知能を搭載した新型機
ロシア=ウクライナ戦争ではドローンが飛び交い、特に小型の自爆ドローン(FPV)がすさまじい活躍を見せてきました。いつも上空をドローンが飛び回り、頭上から小型爆弾が降ってきたり、そのまま突っ込まれる事態が相次ぎました。
もはやドローンは戦場に欠かせず、偵察や弾着観測は言うにおよばず、対装甲戦から対人攻撃にも効果的です。
こうしたなか、人工知能(AI)を搭載しながら、約100km先まで攻撃できるものが登場しました。それが「HX-2・カルマ」という自爆ドローンであって、ドイツのスタートアップ企業「ヘルシング」が開発しました。
- 基本性能:HX-2
重 量 | 12kg |
全 長 | 不明 |
速 度 | 時速220km |
射 程 | 約100km |
要 員 | 1名 |
弾 頭 | 約4.5kg |
価 格 | 不明 |
HX-2は重さ12kgでありながら、弾頭部分は最大4.5kgにもなり、戦車や装甲車も撃破可能です。X字型の機体は電気推進で進み、その見た目はイスラエルの「ポイント・ブランク」に似ています。
ちなみに、名称のカルマ(Karma)は因果応報の意味を持ち、侵略者に対する懲罰のニュアンスもありそうです。
HX-2ドローン(出典:Helsing社)
HX-2は高度なAI機能の搭載により、飛行から目標判定まで自律的に行い、他の無人機とも連携できます。最新のアルゴリズムを使いつつも、地図データと地形に基づいて飛び、最後は画像で目標をとらえる仕組みです。
加えて、AI機能は電子戦やジャミングに強く、従来より信頼性が高まりました。ウクライナで分かるとおり、ドローンを巡る攻防戦は「日進月歩」の勢いで進み、せっかく妨害技術を確立させても、翌月には対策されている状況です。
それゆえ、AI機能でソフトウェアを更新しながら、他のドローンとネットワークを組み、劣悪な通信状況に対応できるようにしました。
大量生産で群れを形成
HX-2は1名で操作するものの、同時攻撃で敵を圧倒すべく、複数の機体で「群れ」を形成する想定です。ヘルシング社はそのための専用ソフトウェアを作り、毎月1,000機もの大量生産を目指しています。
ドイツ南部の工場に加えて、イギリスにも生産拠点を開くことが決まり、量産コストも従来型より安くなるそうです。
また、ウクライナに6,000機が提供されますが、自爆ドローンによる大損害を考えれば、ロシア軍にとってはさらなる試練といえます。すでに数千の戦車・装甲車を失い、約80万人の兵士が死傷するなか、6,000機のHX-2は「泣きっ面にハチ」です。

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