手で投げるミサイル!ポイントブランク

アメリカ軍
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ランチャー不要のミサイルは自爆ドローン?

ドローンが目覚ましい発展を遂げている現代において、スイッチブレードに代表されるような自爆ドローンが戦場に登場しましたが、こうしたドローンは巡航ミサイルに似た特徴を持つことから両者の境界線が曖昧になってきています。こうした状況のなか、イスラエルの企業が歩兵が手で投げるミサイル「ポイント・ブランク」を開発し、アメリカ軍が導入を決めたことが話題となりましたが、この携行式ミサイルは実際には自爆ドローンといえるものです。

⚪︎基本性能:ポイント・ブランク

重 量6.8kg
全 長1.0m
全 幅0.8m
速 度最大時速185km
航続距離10km
連続飛行時間20分
高 度約460m
要 員1名
価 格不明

ポイント・ブランクは英語で「ゼロ距離」を意味しますが、通常のミサイルのようにランチャーを必要とせず、歩兵がその場で手投げできる点では名称のとおりでしょう。外見はスターウォーズに登場する反乱同盟軍の主力戦闘機「 X-ウィング」のような姿をしており、この独特の構造によって垂直離着陸能力と空中ホバリング能力、最大時速185kmの水平飛行性能を実現しました。

歩兵による単独運用が「売り」のポイント・ブランクは全重量が約7kgと非常に軽く、ランチャーが不要なのでバックパックに入れてあらゆる地形において持ち運べます。そして、素早く展開した後は、電子光学カメラを使ったリアルタイム映像を受信しつつ、GPS誘導による精密攻撃を実施しますが、攻撃せずに帰還する選択肢もあるため、通常の偵察ドローンとしても活用できます。一応、開発元のイスラエルはポイント・ブランクをミサイルに分類しているものの、手で投げることに加えて、空中でのホバリングや攻撃を中止して回収できる点などを踏まえれば、むしろ自爆ドローンと呼ぶ方が適切です。

さて、そんなポイント・ブランクは公開された映像を見る限り、非装甲車両を簡単に破壊する威力を誇る一方、戦車のような装甲車両に対しては一定の損害を与え得るものの、「撃破」するのは難しいと思われます。したがって、一般車両やトラック、牽引式の火砲といった比較的脆弱な目標を攻撃するには適した兵器であり、正規戦においては後方の兵站支援能力に打撃を与える際に効果を発揮するでしょう。

また、装甲車両を持たないテロ組織との非正規戦であればなおさら威力を発揮しやすく、特に単独運用による費用対効果を考えれば、戦闘機や無人攻撃機を投入するよりははるかにシンプルかつ安上がりです。対中国を見据えたアジア太平洋へのシフト、そしてロシアによるウクライナ侵略への対応を迫られているアメリカは、もはや中東での対テロ戦に膨大な資源を投入する余力はなく、現地政府軍を支援する少数の部隊を派遣しているのが実情です。そのため、これら少人数の兵士でも効果的に戦えるうえ、費用対効果に優れたポイント・ブランクはアメリカが同地域への関与を継続するにあたって重宝されることでしょう。

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