12式地対艦ミサイルは中国海軍を縛れるか?

ミサイル

88式地対艦ミサイルの後継として

陸上自衛隊の地対艦ミサイル連隊には88式地対艦ミサイルが長年配備されていますが、最近では期待の後継として12式地対艦ミサイルの導入が進められています。この30年間で水上艦船のミサイル迎撃能力は大幅に向上しており、12式地対艦ミサイルは敵艦船をより確実に仕留められる切り札として登場しました。

⚪︎基本性能:88式及び12式地対艦ミサイル

88式SSM12式SSM
全 長5.0m5.0m
重 量660kg700kg
速 度 時速1,150km時速1,100km以上
射 程100〜150km200km以上
価 格1発あたり約2億円1発あたり約4億円
調達数発射機102基発射機22基(現時点)

SSM(Surface to Ship Missile)の略称で知られる地対艦ミサイルは比較的廉価な割には高価な軍艦を撃破できるため、コストパフォーマンスに優れた兵器と言えます。日本では冷戦期から対ソ連を見据えた地対艦ミサイル部隊の拡充が進められ、現在でも世界有数の地対艦ミサイル大国です。

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SSMは沿岸もしくは内陸部に展開して発射されるわけですが、山間部の多い日本では後者の方が敵に悟られにくく都合が良いです。そのため、88式SSMは内蔵された地図などを使って地形を認識し、障害物を避けながら低空飛行で目標に向かいます。もはや巡航ミサイルのような性能を持つSSMですが、毎年実施される演習では100%の命中率を叩き出しています。

88式SSM(左)と最新の12式SSM(右)(出典:陸上自衛隊)

さて、88式及び12式SSMは1両の大型トラックに6発の発射機が搭載されていますが、他にも指揮統制装置、捜索レーダー、射撃統制装置、再装填装置などが必要となります。これらを一つのシステムとして運用することで初めてSSMを発射できるわけです。

では、12式SSMは88式とどう異なるのか?主な改良点は以下のようになります。

・地形に沿って低空飛行する能力の向上
・目標の大小を判別する能力の向上
・飛行中でも情報を受信及び更新する能力
・P-1哨戒機とのデータリンク能力
・再装填時間の短縮

まず、88式とは異なり、海自のP-1哨戒機とデータリンクすることで目標情報をリアルタイムで受け取れます。そして、発射後も情報を受信・更新できるため、確実に目標に命中できるように飛行経路を修正します。また、目標の大小を判別する能力も向上しているため、駆逐艦を狙ったつもりが近くの小型哨戒艇に命中したというような事態を避けます。

これら最新の12式SSMは教育用を除いて熊本の第5地対艦ミサイル連隊に配備中ですが、独立中隊として奄美大島と宮古島にも配備されており、明らかに対中国を見据えた配置となっています。

射程延伸で東シナ海全域を攻撃圏内に収める

SSMで気になるのは「射程」ですが、当然これは最高級の軍事機密となります。ただ、88式の射程が150km以上と言われていることから12式も150〜200kmの射程距離を持つと推測します。さらに、防衛省はまず射程を900kmまで延伸した「能力向上型」を開発すること決め、最終的には1,500kmまで伸ばす意向ですが、これらが南西諸島に配備されれば、東シナ海全域が余裕で射程圏内となり、中国海軍の行動はかなり制限されます。

900kmへの延伸で東シナ海と中国本土沿岸部は射程圏内へ

中国海軍の拡張が米海軍をも上回るスピードで進んでいるなか、予算も人員も足りない海上自衛隊が真正面から対抗するのは無理です。したがって、コスパに優れたSSMを使った「非対称戦」に取り組み、南西諸島に地対艦ミサイルと地対空ミサイルによる壁を作ることで日米版のA2ADを構築すべきでしょう。その壁を構成する重要なピースの一つが12式SSMとその能力向上型なのです。

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