もともとは98式戦車?
近年の中国は海・空軍の増強が目立ち、特に海軍は空母艦隊を運用するなど、劇的な成長を遂げました。しかし、本来の中国は陸軍大国であって、現在も兵員の大部分が陸軍の兵士です。
そんな中国陸軍は主に「99式戦車」を使い、アジア最強の地上戦力を整備してきました。
果たして、中国が誇る99式戦車とは、どのような戦車なのか?
- 基本性能:99式戦車(ZTZ-99)
| 重 量 | 55t |
| 全 長 | 7.6m |
| 全 幅 | 3.7m |
| 全 高 | 2.35m |
| 乗 員 | 3名 |
| 速 度 | 時速76km(不整地:時速54km) |
| 行動距離 | 600〜650km |
| 兵 装 | 125mm滑腔砲×1 12.7mm機関銃×1 7.62mm機関銃×1 |
| 価 格 | 4億円 |
まず、99式戦車の開発経緯において、1989年の天安門事件は外せません。
当時の中国は旧ソ連技術とともに、西側の先進技術を取り込み、戦車の近代化を目指していました。ところが、民主化運動を武力鎮圧した中国に対して、欧米諸国は禁輸措置を発動しました。この制裁でその道が閉ざされてしまい、結局はソ連の「T-72戦車」を参考にしました。
まもなくソ連が崩壊したため、中国は新生・ロシアではなく、独立後のウクライナに近づき、彼らから装甲技術と射撃統制システム、エンジン部品などを購入します。
大国・ソ連の分裂にともなって、その軍事技術を入手しやすくなり、中国には好都合なタイミングでした。
こうして旧ソ連技術を活用しながら、1998年には「98式戦車」と命名されますが、翌年の建国50周年式典に参加すると、そこで名前を「99式」に改めました。
このとき、射撃管制・照準機能の不具合を直して、エンジンの出力も上げたことから、99式は98式戦車の改良型といえます。
つまり、99式戦車はT-72に基づいて、98式戦車として開発したあと、すぐに改修したものです。本格的な配備は2001年に始まり、いくつかの発展型を合わせると、計1,200両が生産されました。
分類上は第3世代にあたり、日本の「90式戦車」、ドイツの「レオパルト2」と同世代です。ただし、後述の「99A式」は第3.5世代になり、10式戦車と同等クラスになります。
他国に劣らない性能
旧ソ連技術を採用したところ、T-80と同系統の125mm滑腔砲を持ち、最大5kmの射程を有するほか、42発分の弾薬を車内に搭載できます。通常の砲弾だけではなく、砲発射型のミサイルも使用できるなど、ロシア戦車と同じ利点を確保しました。
自動装填装置を組み込み、発射手順を簡素化するとともに、それまでの中国戦車と比べて、射撃管制機能を高めました。当初は射撃管制装置と照準機能が悪く、想定以下の精度だったものの、独自の改修で性能が大きく変わり、現在の射撃能力は西側と遜色ありません。
中国の99式戦車
他方、防御面では複合装甲を使い、特に前面を集中的に防護しました。しかし、目標としていた防護力に届かず、爆発反応装甲(ERA)で防御力を補い、成形炸薬弾などに対応しました。
さらに、対戦車ミサイルを迎撃するべく、アクティブ防護システムを積み、レーザー照射をしながら、ミサイルの照準を狂わせる仕組みです。
再設計で完成形へ
命中精度は改善したとはいえ、中国は99式戦車の性能に満足せず、2013年に改良型の「99A式」を登場させます。
これは車体を受け継ぎながらも、設計を全面的に見直しており、実質的な新型戦車でした。
たとえば、新たな砲塔はくさび形になり、最新の複合装甲とERAを置き、防護力を大きく増強しました。その結果、特に前部の強度が飛躍的に高まり、二重弾頭式の対戦車ミサイル、装甲を貫くAPFSDS弾に対して、なんとか耐えられるそうです。
改良型の99A式
また、新型エンジンで1,500馬力まで上がり、重量が増えたもかかわらず、逆に路上機動力は時速75km、後進速度は時速34kmまで向上します。旧ソ連系の戦車といえば、前進時に比べて後退速度が遅く、弱点とされてきました。99A式はこの欠点を打ち破り、戦場での生存性を高めました。
そして、味方同士で円滑に連携するべく、リアルタイムの情報共有システムを使い、敵・味方の位置とその行動を伝達できます。ソフトウェアの改修にともなって、ネットワーク型の戦闘に対応したわけです。
アジア最強の実態
99式戦車は日本の90式と同世代とはいえ、最初からERAを搭載したり、アクティブ防護機能の存在をふまえると、1歩リードしていたといえるでしょう。
これが改良型の99A式になると、装甲防護力は「10式戦車」を上回り、「アジア最強」と評する声が多いです。90式がほとんど改良されず、10式も未改修な点を考えると、やはり99A式の方が性能は上でしょう。
2025年にはさらなる改良を行い、「99B式」という新型が登場しました。その詳細は不明ながらも、新しい照準システム、射撃管制システム、電子光学センサーを積み、戦場での認識・情報共有能力を強化しています。
新たに遠隔操作式の機銃、検知レーダーと迎撃兵器が加わり、99A式よりも防護性能は高いです。
これら情報を信じるならば、99B式はアジア最強の部類に入り、決して弱くはありません。
アジア屈指の性能を誇る
一方、中国の公表は誇張が多く、ある程度は疑ってかかるべきです。
そもそも、中国やロシアに限らず、公開情報は何らかの意図を含み、「誰か」を意識して公表します。
たとえば、これまでの訓練映像を見ると、99式は全弾命中を披露しており、西側にその脅威を知らしめました。
他方、外した様子は公開するはずがなく、意図的に撮影・編集した点を考えると、実際の能力には分かりません。このあたりは自衛隊も変わらず、結局は実戦能力が未知数です。
実戦経験がない以上、M1エイブラムスやレオパルト2に比べて、不確実な部分が残り、特に主砲の貫通力不足が指摘されています。自慢の装甲防護力についても、正面に偏っている点が否めず、側面や上部は比較的薄いままです。
また、ロシアがウクライナに侵攻したところ、自慢の兵器群が喧伝されたほどの成果を出せず、戦車も思うように活躍できないまま、ひたすら損害が増えていきました。
旧ソ連兵器の誇張が剥がれ落ち、その実態が明るみに出た形ですが、中国も同系統を受け継いだ限り、同じ問題を抱えている可能性があります。
独自改良で進化すれども、根源部分に問題が残っているならば、想定通りの性能を発揮できず、予想外に苦戦するかもしれません。
敵を侮るのは下策ですが、過剰に恐れる必要もなく、特に中国が情報戦・心理戦を好む以上、彼らの主張をある程度は疑うべきでしょう。
結局のところ、実戦経験がないとはいえ、99式は決して「弱い」戦車ではなく、単独でアジア最強かは別として、少なくとも最強の部類には該当します。


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