謎に包まれた自爆ドローン
ロシア=ウクライナ戦争とナゴルノ=カラバフ戦争では、徘徊型の自爆ドローンが敵の火砲や防空兵器を破壊するなどの戦果をあげて、その利用価値を証明しました。
このように厄介な存在である自爆ドローンのなかで、正体不明で謎に包まれているのがアメリカからウクライナに供与されたはずの「フェニックス・ゴースト」です。
この自爆ドローンは、アメリカの「AEVEXエアロスペース社」という会社が開発したもので、米政府の説明では同じくウクライナに供与した「スイッチブレード」に似た兵器とのこと。
しかし、スイッチブレードと違って、詳細な性能どころか、姿形すら不明のまま。
現時点で判明しているのは、フェニックス・ゴーストが自ら垂直離陸で飛び立った後、カメラや赤外線センサーを使いながら最大6時間は飛行できること。
これはスイッチ・ブレードよりもはるかに長い滞空時間であり、それにともなって機体規模も大きいと思われます。また、大掛かりな発進システムは不要との見方が強く、戦場での持ち運びと機動展開に有利です。
したがって、最前線から後方にかけて展開する敵の装甲車や火砲を狙うには十分な飛行性能を持ち、完全撃破には至らなくても、一時離脱させるほどの損傷を与えられるはず。
供与されるも、未だに戦果不明
このように長時間徘徊して火砲も撃破できるフェニックス・ゴーストは、熾烈な砲兵戦がを戦うウクライナ軍のニーズに合致しています。
ところが、すでに1,100機以上が供与されたにもかかわらず、戦果も姿も確認できていません。もし実戦投入されたならば、機体の残骸ぐらいは見つかりそうなものの、このSNS全盛期にそれすら確認できないのは不思議でしかありません。
これはすでに戦果が確認されているスイッチブレードと比べても、やはり異常と言わざるを得ず、こうなると存在自体を疑いたくなります。偶然にも、名前に「幽霊(ゴースト)」と付いており、宣伝目的で存在を誇張した可能性もゼロではありませんが。
開発元は2017年に作られた新しい会社で、軍事ドローンの開発実績もフェニックスゴーストが初めてらしいので、もしかすると現地で何らかの不具合に直面しているのかもしれません。
まだ戦場に投入していないだけという可能性もありますが、新兵器を試す絶好の機会を逃すと思えず、謎が深まるばかりです。
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