地獄の訓練!レンジャー隊員の強さや伝説について

レンジャー訓練 陸上自衛隊
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幹部、空挺、冬季戦向けも

ここまでは部隊集合訓練、いわば通常のレンジャー訓練の話ですが、前述のとおり他にも課程があって、そのひとつが「空挺レンジャー」です。これは空挺降下に特化したコースになり、第1空挺団でしか行われません。

さらに、雪国で遊撃戦をする想定の下、スキーを使って展開・戦闘したり、寒冷地で自活する「冬季レンジャー課程」。北海道・東北・北陸など、世界有数の豪雪地帯を抱える以上、気候に合わせたプログラムもあるわけです。

正式には別課程ではないとはいえ、水陸機動団の部隊集合教育は他と違って、水陸両用作戦や水路潜入に力を注ぎ、離島防衛を意識した内容です。ほかにも、松本駐屯地(長野)は日本アルプスに近く、その関係で険しい山岳を登り、特別な訓練メニューをこなします。

そして、富士学校ではレンジャー教官を養成すべく、「幹部レンジャー課程」を実施してきました。これは幹部自衛官のみが対象になり、卒業後はレンジャー訓練を指導するため、他に比べて教育指導法を重視します。

気になる手当と待遇

ところで、陸上自衛隊の全隊員14万人のうち、レンジャー資格の保有者は約8%にのぼり、実数では約1万人はいる計算です。

しかし、意外に見かける機会は少なく、部隊でバラツキがあります。

レンジャーの任務を考えると、水陸機動団のような精鋭部隊、あるいは普通科連隊(歩兵)に集まり、特科(砲兵)や後方支援部隊は少ないです。

レンジャー隊員だけを集めた、「レンジャー部隊」はないものの、第1空挺団は後方要員を除けば、ほとんどの隊員がレンジャー資格を持ち、事実上のレンジャー部隊でしょう。

いずれにせよ、レンジャー訓練を卒業すると、どの部隊でも頼りにされるほか、有事では現場を支える中核になります。たとえば、能登半島地震では道路の寸断を受けて、レンジャー隊員が救援物資を担ぎながら、崩れた道と険しい山岳地帯を進み、孤立集落に物資を届けました。

そんなレンジャーは皆に尊敬されるも、あくまで個人資格になることから、特別手当は支給されません。「レンジャー手当」などは存在せず、空挺降下時にもらえる手当、特殊作戦隊員の手当が生んだ誤解でしょう。

それでも、究極の自己鍛錬に挑み、勝ち獲った誇りは一生消えず、金銭的な価値には換算できません。

中止と内容の見直し

さて、毎年行ってきたにもかかわらず、陸上自衛隊は2025年度は一部を除き、レンジャー訓練を中止しました。史上初の異例措置ですが、ここ数年は死亡事故が発生したり、戦場環境の激変が理由とのこと。

同じレンジャー課程といえども、訓練内容の細部は各部隊で異なり、教官や地域で差が生まれていました。そこで、教育体制の統一を図り、訓練時の安全管理を徹底しながら、均一性のあるプログラムを目指します。

また、ロシア=ウクライナ戦争で分かるとおり、ドローンの大量使用で戦術が変わり、従来の訓練では対応しきれません。特に自爆ドローンの影響は大きく、いくら体力・メンタルお化けでも、新たな対処能力が求められます。

戦う前提条件が変わった以上、訓練内容を見直さねばならず、最新の教訓をふまえながら、プログラムをアップデートするわけです。

具体的な変更点を見ると、市街戦訓練と実弾射撃の回数を増やして、ドローン対策とその操縦訓練を追加しました。山岳訓練は引き続き実施しますが、「サバイバル一辺倒」からの脱却を図り、配置次第では市街戦の訓練を優先します。

走る自衛官たちレンジャー訓練(出典:第7師団)

体力・精神面の鍛錬についても、従来のような精神論重視ではなく、よりスマートな対応を目指すそうです。

これは2024年のレンジャー訓練において、水分補給を制限したあげく、真夏にエアコンの使用を限定した結果、熱中症で1名が死亡した事案が契機でした。

レンジャー隊員はゲリラ戦を担い、偵察や破壊工作任務に就く限り、一定の苦しさには耐えねばならず、精神面での鍛錬は欠かせません。状況次第では飲み水さえ足りず、過酷な自活生活を想定するならば、ある程度は慣れておくべきでしょう。

他方、体重より重い装備を背負い、不眠不休で歩き続けたら、自分の限界を超えられるものの、それで実戦に耐えられるとは限らず、現代戦に対応できるかは不明です。

以前と比べて気象環境も変わり、科学技術の発展が目覚ましいなか、根性論で乗り切れるケースは減り、訓練内容に新たな視点と方法を取り込み、「バランス」を取らねばなりません。

日本の海兵隊!水陸機動団の役割と気になる装備・手当は?
初の水陸両用部隊中国軍の海洋進出を受けて、陸上自衛隊は南西諸島を防衛するべく、「水陸機動団」を2018年に創設しました。これは自衛隊初の水陸両用部隊であって、主力の2個連隊を長崎県・佐世保市に配備しました。敵に占領された離島の奪還が仕事です

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