調達を急ぐ日本
さて、日本は敵基地攻撃能力を確保するべく、長距離攻撃用のミサイル部隊を発足させたうえ、12式地対艦ミサイル(長射程版)、島嶼防衛用高速滑空弾を配備予定です。
ところが、国産ミサイルの開発では間に合わず、つなぎとして約400発のトマホークを購入しました。当初は「ブロック5」を2026年度に導入予定でしたが、半数をワンランク下の「ブロック4」に変えてでも、その調達を1年ほど早めました。
対地攻撃能力に限ると、「ブロック4」は最新型とそこまで変わらず、わずか1年も待てないほど、情勢が切迫していると考えられます。
そこまで焦っているわけですが、とにかくトマホークの調達にともなって、自衛隊の対地攻撃力は新しい次元に入り、イージス艦の改修で運用能力を確保します。
さはさりながら、400発という数は本格的な戦闘になると、すぐに撃ち尽くしてしまい、追加調達と他のミサイルと併用せねばなりません。
アメリカは2017年に約60発をシリアに撃ち込み、アサド政権の空軍基地を攻撃したものの、基地機能は3〜4日で回復しました。したがって、400発のトマホークを保有しても、本格的な戦争では短時間で使い切り、敵の戦闘力を一時的に奪うぐらいでしょう。
ちなみに、日本政府のトマホーク購入を受けて、「時代遅れのミサイルを買わされた」との声があります。しかし、買ったモデルは米軍のものと変わらず、このような批判は見当違いです。
前述のとおり、初期型と最新型では全く性能が異なり、特に誘導性能や命中精度では雲泥の差があります。しかも、兵器システムとして考えると、とにかく信頼性と完成度が高く、これほど安心して使える兵器はそう多くありません。
身近なモノで例えるならば、巡航ミサイル界の「iPhone」といえるかもしれません。iPhoneも初代と最新型では性能が全く違い、スマホとしてはある意味で完成されています。兵器も同様にモデルチェンジ、アップグレードで進化しながら、信頼性の蓄積と能力向上を果たすわけです。


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