空母を支える「鷹の目」
アメリカの軍事力の源泉といえば、原子力空母の戦力投射能力ですが、空母は戦闘機だけでは真価を発揮できず、航空戦力としては未完成のままです。
空母の打撃力を有効活用するなら、上空で敵をすばやく探知しながら、味方を誘導する早期警戒機、早期警戒管制機が欠かせません。
そのため、米海軍は「E-2Dアドバンスド・ホークアイ」を持ち、空母の早期警戒に使用しています。これは「E-2C・ホークアイ」の発展型にあたり、基本的な役割は変わりません。
艦艇にもレーダーはあるとはいえ、水平線の影響で視界が限られており、早期警戒機を高高度で哨戒させれば、この弱点を補える仕組みです。いわば、早期警戒機は「空の目」を担い、俯瞰的に見下ろしながら、接近する敵を早めに発見します。
最新の「ジェラルド・R・フォード級」といえども、適切な警戒監視態勢を敷かないと、脆弱な空母はリスク晒されてしまい、せっかくの戦力を活かせません。
そこで、E-2Dは高度9,000メートルを飛び、発見後はすぐに空母に通報を行い、迎撃の戦闘機部隊と連携します。
E-2Dはステルス機も捕捉するべく、新たに「AN/APY-9レーダー」を積み、空と海を同時に360度監視するほか、探知距離が550キロ以上に伸びました。
そして、移動式の地対艦ミサイルを考慮して、地上に対する監視能力を持ち、多種多様な脅威を正確に把握します。
また、E-2Dでは空中給油機能が加わり、連続滞空飛行を7時間まで延長しました。つまり、E-2Cよりも長く飛び回り、遠くまで見渡せるわけです。
着艦するE-2D(出典:米海軍)
さらに、統合運用の必要性をふまえて、リアルタイムで連携して戦うべく、共同交戦能力(CEC)が追加されました。
その結果、味方との連携能力は劇的に上がり、イージス艦がSM-6迎撃ミサイルを撃ったあと、E-2Dが誘導することに成功しています。
E-2Dは珍しい存在?
E-2Dは中型のターボ・プロップ機といえども、実際に目の当たりにすると大きく、本来は地上での運用に適した機体です。
しかし、空母艦載機として使う以上、短い距離で離着艦せねばならず、出撃時は戦闘機と同様にカタパルトで放ち、着艦時はフックをワイヤーに引っかけます。
見ている側からするとい、カタパルトでの発艦時はともかく、着艦時は本当に止まれるのか、内心はヒヤヒヤするものです。
さて、空母は早期警戒機が必要と言いましたが、ターボ・プロップ機を艦上運用する国は少なく、「シャルル・ド・ゴール」(フランス)ぐらいでしょう。
たとえば、イギリスの「クイーン・エリザベス級」を見ると、ヘリコプター型の早期警戒機を使い、イタリア・インド・ロシアも同じヘリ型です。ロシアは固定翼型を目指したものの、開発が難航して結局は実現できず、「アドミラル・クズネツォフ」はヘリを採用しました。
これは「いずも型」護衛艦でも変わらず、E-2C/Dの搭載が難しい以上、ヘリ型を選ぶしかありません。
他方、中国は空母の建造に力を注ぎ、現時点ではヘリ型にとどまるも、E-2Dのようなターボ・プロップ型を開発中です。
別にヘリ型で問題はないとはいえ、速度・航続距離などで比較すると、やはり固定翼機の方が優れています。
洋上を飛ぶE-2D(出典:米海軍)
マンガ「空母いぶき」で描かれたように、陸上基地からの早期警戒機、早期警戒管制機に頼る方法もあれども、この場合は地上から運用せねばならず、その分だけ活動範囲が限定されます。
その影響は空母にもおよび、結局は自前の早期警戒手段を持ち、自衛するしかありません。
このような点を考えると、高性能なターボ・プロップ型を作り、それを空母で運用できるからこそ、米海軍の空母は最強たりえます。


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