世界最高！自衛隊で活躍するC-130H輸送機の性能

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輸送機界のベストセラー

人員・物資を運ぶ輸送機のうち、西側諸国を中心にベストセラーなのが、70年前に登場したアメリカの「C-130」シリーズです。

ギリシア神話由来の「ハーキュリーズ」という愛称を持ち、2,500機以上の生産数を誇りながら、60ヶ国以上で使われてきました。

従来型の積載能力を超えるべく、太い胴体には19トンの貨物が入り、座席の設置で94名が乗り込めます（フル装備の空挺兵は64名）。

また、後ろにはスロープ付きのカーゴドアがあって、パレット・コンテナや車両をそのまま載せる、あるいは空中投下できます。このカーゴドアに加えて、貨物室の床を低く設計したところ、荷物の搬出入が楽になりました。

カーゴドア（左、赤丸部分）と物資を満載した機内の様子（出典：陸上自衛隊）

プロペラ機にもかかわらず、4基の大型エンジンは強力なパワーを生み、頑丈な着陸装置を備えているため、未舗装の滑走路でも使えます。

しかも、必要な最短距離は離陸で1,100m、着陸で520mにすぎず、前線近くの簡易飛行場で運用可能です。あくまで実験といえども、カタパルトと着艦装置を使うことなく、空母への離着陸にも成功しました。

この短距離離着陸、不整地運用能力に対する評価は高く、災害派遣やインフラが未整備の途上国支援で役立ち、世界展開する米軍の活動を支えてきました。

なお、開発から70年以上が経つものの、エンジンや電子機器以外はあまり変わらず、最初から設計が完成していました。

優れた基本設計により改造しやすく、特殊部隊向けの強襲型、空中給油型、電子戦型、榴弾砲搭載の「AC-130ガンシップ」など、あらゆる派生型が生まれています。

あえて欠点をあげるなら、国際貢献活動が増えた現代において、いささか輸送力が足りないです。開発当時は国際貢献活動の概念が薄く、積載能力は問題になりませんでした。

ところが、現在は人道支援を含む国際協力が欠かせず、軍隊の任務のひとつにさえなりました。

こうした時代の要請を受けて、C-130も国際貢献に出動しますが、現場では輸送力不足の声が聞かれます。ただし、それはC-17輸送機、A400Mなどに比べた場合ですが。

そんなC-130は日本でも使われており、航空自衛隊が14機のC-130H、2機の空中給油型（KC-130H）を運用中です。これは定期便として各基地を結び、陸上自衛隊の第1空挺団の訓練支援も行います。

さらに、イラク派遣やアフガニスタンの邦人救出など、自衛隊の海外任務でも活躍してきました。C-130シリーズは多くの国が使い、派遣先では運用整備面での融通が効きやすく、一定の互換性を期待できるわけです。

少し変わったところでいえば、医療行為を行う「機動衛生ユニット」を運び込み、「空飛ぶ救急車」として活躍してきました。これはコンテナの中に手術室があって、機内で医療措置を行いながら、大きな病院まで急患輸送します。

一方、海上自衛隊では「C-130R」が連絡機になり、日本本土と南鳥島、硫黄島などを結び、交代要員の輸送や物資補給に使ってきました。

これは寿命を迎えたYS-11の任務を引き継ぎ、その穴を埋めてきましたが、当初は機雷投下での使用も考えて、C-130Hを望んでいました。

しかし、C-130Hの購入は諸事情で実現できず、代わりに6機のKC-130R（空中給油型）を買いました。これは米海兵隊の中古機であるうえ、砂漠地帯で保管されていたものです。

空中給油機能を外すなど、連絡機仕様に改修したものの、古い機体はあちこちの老朽化が否めず、低い稼働率に悩まされてきました。年間25億円の維持費にもかかわらず、稼働機数がゼロの期間も多く、「安物買いの銭失い」になりました。

ところで、C-130シリーズはいつまで使うのか？

現時点で後継の輸送機はなく、むしろ「C-130J」という最新の改良型さえ登場しました。「スーパー・ハーキュリーズ」と呼び、C-130Hの事実上の後継にあたるJ型ですが、以下のようなアップグレードがされました。

いろいろ強化されたとはいえ、航空機としては成熟しており、大きな進化はありません。

結局のところ、優秀な基本設計でまだ使えるうえ、仮に後継機を開発しても、C-130を置き換えるほどの総合性能、コストパフォーマンスは期待できません。