その歴史と伝統
海上自衛隊では3年ごとに観艦式を開き、多数の艦艇と航空機を集めながら、同盟国・友好国の軍艦も招いてきました。2022年の観艦式は神奈川県・相模湾で行い、アメリカとオーストラリア、韓国など12カ国が参加しました。
約40隻の艦艇が艦隊を組み、30機以上の航空機が飛ぶイベントですが、そもそも観艦式とは何なのか?
その由来は英仏戦争中の1341年までさかのぼり、イギリス国王・エドワード3世が艦隊を率いたとき、その威容を出撃前に確かめたのが始まりです。
日本では明治元年(1868年)、大阪湾で明治天皇が観閲したのが最初にあたり、その後は日露戦争の戦勝を祝う観艦式、昭和天皇の即位を記念したものなど、戦前だけで計18回も実施されました。
1945年の敗戦で帝国海軍は消滅したものの、その伝統を海上自衛隊が受け継ぎ、1957年には戦後初の観艦式を開催しました。現在の観艦式とは違って、当時はほぼ毎年行われていたほか、場所も東京湾や大阪湾、博多湾など、その年によって変わりました。
ところが、1973年にオイルショックを起こり、燃料価格が一気に急騰すると、観艦式は中止になります。
復活は1981年まで待たねばならず、それ以降は3年に一度の開催になり、陸上自衛隊の「中央観閲式」、航空自衛隊の「航空観閲式」とともに、持ち回り方式にしました。
示威行為と国際親善
さて、観艦式は「海上でのパレード」であって、その目的は自国の士気を高めたり、国内外に威容をアピールするためです。
仮想敵を含む各国の駐在武官を招き、自分たちの精強さを見せつけながら、外国艦艇の参加を通して国際親善を深めます。これは同盟国・友好国に限らず、2019年に中国が観艦式を開いたとき、海自の護衛艦が参加して話題になりました。
また、観艦式は「海軍外交の場」の役割を持ち、直近では日本はインドとパキスタンを誘い、険悪の仲である両者を交流させました。
国は違えども、同じ海軍軍人として分かり合える点は多く、観艦式は国際親善の促進を図り、国際関係を安定化させる重要なイベントです。
コメント