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露の悪夢、NATOの救世主
ドイツを差し置いて欧州最強の陸軍国家になるポーランドですが、これはロシアにとっては自らが招いた「戦略的大失敗」です。
ウクライナ侵攻にふみきったロシアは陸軍戦力をすり潰し、国際的孤立と経済制裁を招いたのみならず、逆にNATOを拡大させる失態まで演じました。しかも、2014年に「獲得」したクリミアのセヴァストポリ軍港もウクライナ軍の攻撃にさらされて、もはや安全圏ではなくなりました。
こうして戦略的目標を何ひとつ達成できないなか、強大な陸軍国家を誕生させるアシストまでしたわけです。
ロシアが自慢の戦車を2,000両以上も失っている最中に、高性能戦車を1,300両近く整えた陸軍が近くに現れるのですから、頭が痛いに決まっています。
頭痛の度合いでいえば、ポーランドに隣接するベラルーシの方が深刻でしょうが、貧弱なベラルーシ軍ではとても太刀打ちできないので、ロシアはこの貴重な同盟国を直接支援せねばなりません(その分だけコストが膨らむ)。
一方、NATOとしてはポーランドの軍拡路線は望ましく、弱点とされてきたバルト方面の守りを盤石にできます。財政的余裕がないイギリス、国内問題に悩むフランス、稼働率改善と新規調達が進まないドイツに代わって、ポーランドがNATOの戦力強化を担うのは欧州各国にとってはありがたいはずです。
そして、極東でロシアと対峙し、NATOとの関係を深めている日本にとっても、軍事大国化するポーランドとの関係強化は必然といえるでしょう。
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