従来型とは違う用途
現代戦では無人機(ドローン)が欠かせない装備となり、自衛隊もRQ-4グローバル・ホークやスキャン・イーグルのような無人偵察機を導入しました。
その一方、海でも無人化の動きが加速しており、すでに米海軍は無人水上艇の本格的な試験運等を実施中です。
そんななか、防衛省も「戦闘支援型の多目的無人水上艇(USV)」の研究を目指して245億円の予算を組みました。これは海上自衛隊の「もがみ級」フリゲート艦に搭載された機雷戦用の無人潜水艇(UUV)と違って、哨戒任務から対艦ミサイル攻撃までの多用途任務を想定しています。
すなわち、本格交戦も前提としたミサイルや各種センサー、そしてステルス性能を備えたもので、海自が今まで運用してきた無人潜水艇とは全く異なる予定です。開発にあたっては、運用実績のある各国のUSVを参考にするようなので、その性能や役割も近いものになるでしょう。
実際に期待される役割
では、新しいUSVに求められる役割とは何なのか?
自律航行する無人艇は長期間にわたる警戒監視ができるうえ、護衛艦と比べて圧倒的に安上がりです。さらに、任務に応じてミサイルを搭載したり、複数による連携体制を目指しています。
米海軍の無人艦隊に似た構想ですが、その見た目はどちらかというと無人潜水艇寄りです。「そうりゅう型」潜水艦にあるようなX字型の舵が確認できるため、船体を半分近くを潜没させて生存性を高めるつもりでしょう。
これらが実現すれば、かなり厄介な存在になるとはいえ、ロシア=ウクライナ戦争のように実戦では迎撃・撃破されたケースも多く、ロシア軍艦を沈めた自爆攻撃は太平洋ではあまり通用しません。また、港湾拠点への奇襲も中国本土との地理的距離を考えれば現実的ではありません。
したがって、海自の無人水上艇は警戒監視任務をメインとしつつ、状況次第では護衛艦や他の無人水上艇と連携した対艦攻撃を試みると思われます。
相手からすれば、従来の海自護衛艦に加えて、見つけにくい無人水上艇もミサイルを撃ってくるかもしれず、心理的影響と防空網圧迫を期待できます。
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