弱い?戦後初の国産戦車「61式」の評価と功績について

陸上自衛隊
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旧軍の流れを汲んだ戦車

日本戦車といえば、第二次世界大戦の弱いイメージを長く引きずっていましたが、いまは90式戦車や最新の10式戦車のおかげで、その地位は大きく向上しました。

しかし、その道のりは決して楽なものではなく、それは戦後初の国産戦車「61式」から始まったといえます。

  • 基本性能:61式戦車
重 量 35t
全 長 6.3m
全 高 2.5m
全 幅 2.95m
乗 員 4名
速 度 時速45km
行動距離 約200km
兵 装 90mmライフル砲×1
7.62mm機関銃×1
12.7mm機関銃×1

61式戦車はそれまで米軍のお下がりを使っていた自衛隊にとって、ようやく体格や運用体制に合った主力戦車になりましたが、その性能は当時の世界標準から大きく遅れたものでした。

90mm砲を搭載していることから、一応は戦後第一世代に分類されるものの、それは旧日本軍が作った中戦車の延長線にあったといえます(実際に一部技術は流用されている)。

その開発も戦前から戦車生産を担当していた三菱重工業が行い、朝鮮戦争で多くの米軍戦車を修理・整備した経験がここで役立ちました。

朝鮮戦争での教訓も取り入れたところ、最終的には旧日本軍とアメリカ軍の戦車をかけ合わせたような形となり、特にエンジン回りなどは旧軍の四式中戦車と似た構造になりました。

防御面では敵弾を弾く傾斜装甲や避弾経始のデザインを採用しましたが、性能試験では40mm機関砲までしか試しておらず、お世辞にも装甲防護力は優れてはいません。

一方、戦車砲は米軍のM48パットン戦車よりも砲身が長く、威力的には上回るとされていました。ただし、61式戦車の配備前に105mm砲を搭載したM60パットンが現れたため、やはり諸外国と比べて出遅れた形でした。

現代へとつなげた役割

登場時から陳腐化が否めなかった61式戦車ですが、合計560両が生産されて2001年まで各地で運用されました。

運用側の評判としては、変速機の扱いが難しいとはいえ、同時期の戦車と比べて加速・後退性能はよく、一撃離脱戦法などには向いていました。前述のように装甲が薄かったので、真正面からまともに撃ち合えば弱く、なんとか機動力で生存性を高めた形です。

退役車両は全国の駐屯地に展示されている

こうした点をふまえれば、61式戦車は戦後技術も取り入れた旧軍戦車の最終形態ともいえる存在で、当時のノウハウや技術的には望みうる限りの成果でした。

たしかに総合性能では他国に劣ったものの、戦争直後の空白時期を乗り越えた戦車としては決して悪くなく、その後の国産開発につながりました。とりわけ74式戦車、90式戦車へと技術開発の流れをつないだ役割は大きく、61式戦車の存在なくして、現在の日本戦車の地位はありません。

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