日韓協力を阻害する名前
日韓両国は何かと「ライバル扱い」を受けますが、これは軍事分野においても変わらず、韓国側がよく対抗心を燃やしてきました。
最近は協力関係にあるとはいえ、屈折した対日感情は艦名にも現れており、その代表例が「独島級」強襲揚陸艦です。
まず、「独島(ドクト)」とは島根県・竹島の韓国名であって、これをあえて韓国初の強襲揚陸艦に用いたのは、まさに対日感情を発露させた結果でした。
わざわざ係争地の呼称を使うあたり、なんとも大胆で挑発的な感じですが、2007年の就役時は大きな反発を呼び、当時の外務省が抗議しました。日本に置き換えれば、護衛艦に「せんかく」と命名するようなもので、あまりに露骨すぎます。
ただ、韓国にとって独島(この記事ではこの呼称を用いる)は特別な意味を持ち、過去の歴史と結びつけながら、愛国心の鼓舞や国威発揚を狙える存在です。
こうした意味合いをふまえれば、軍艦に付けたがるのも無理ありません(日本としては許容できないが)。
一方、日韓の防衛協力を考えると、この名前はデメリットしかなく、じつは韓国海軍も内心は後悔しているのではないでしょうか。
独島という名前を持つ以上、日本への寄港や共同訓練は見込めず、防衛協力上は大きな障壁になっています。就役時は現在ほど国際情勢が切迫しておらず、愛国心優先でもよかったのでしょう。
しかし、対中国、対北朝鮮での連携が必要なときに、このネーミングはかえって不都合です。
一応、2番艦の「馬羅島(マラド)」もあって、横須賀にも寄港していますが、「独島級」である点は変わらず、日本との心理的な障壁になっています。
強襲揚陸艦としては十分
では、ここからは強襲揚陸艦としての能力について。
- 基本性能:「独島級」強襲揚陸艦
排水量 | 14,300t(基準) |
全 長 | 199m |
全 幅 | 31m |
乗 員 | 330名 |
速 力 | 23ノット(時速43km) |
航続距離 | 1万浬(18,520km) |
輸送力 | 兵員720名 戦車や装甲車、トラックなど |
兵 装 | ・1番艦 30mm CIWS×2 SeaRAM発射機×1・2番艦 20mm CIWS×2 国産VLS×4 |
艦載機 | 輸送ヘリなど最大15機 |
建造費 | 約400億円 |
飛行甲板は5つの発着スポットを持ち、大型輸送ヘリなどが使えるほか、作戦によっては戦闘攻撃ヘリも運用できます。格納庫には3機分以上の駐機・整備スペースがありますが、車両甲板も用いれば、最大15機まで搭載可能です。
一方、ウェルドックにはエア・クッション型の揚陸艇が2隻入り、艦全体では720人の海兵隊員を乗せながら、K2戦車や水陸両用車両なども運びます。これら輸送能力に加えて、手術室や臨床検査室のような医療設備を持ち、ミニ病院船になれるようにしました。
独島級強襲揚陸艦(出典:アメリカ海軍)
また、機動艦隊や上陸作戦時の旗艦を務めるべく、指揮・通信機能は充実しており、まさに韓国海軍の洋上司令部になります。
その分、兵装は自衛用しか装備しておらず、その種類も1番艦と2番艦で結構違います。
「独島」がSeaRAMの発射機、2つの30mmCIWS(オランダ製ゴールキーパー)を持つのに対して、「馬羅島」では国産のVLSとアメリカ製のファランクスに変更されました。
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