トルコに頭が上がらない
影響力を失うロシアに代わり、トルコが地域大国・バランサーになりつつあります。トルコは黒海と地中海をつなぐ2つの海峡を持ち、ロシア=ウクライナ戦争でも両者の間を取り持ってきました。
一方、トルコはアサド政権の崩壊に関与しており、ロシア側は大きな不満を抱いています。さはさりながら、ボスポラス・ダーダネルス海峡は通らねばならず、NATO加盟国のトルコと敵対する余裕はありません。
むしろ、今後のシリア情勢次第では、ますますご機嫌をとらねばなりません。
新生シリアに石油・ガスのパイプラインができれば、ヨーロッパはトルコ経由で中東のエネルギーを入手できます。パイプライン構想自体はあったものの、アサド政権が計画を阻止してきました。
アサドが去った現在、トルコと新生シリアが計画を進めれば、欧州はロシア産ガスへの依存度を減らせます。
むろん、これは長期的な話になりますが、ロシアは欧州に対する外交カードを失い、ガス停止の脅しが効かなくなるでしょう。
一方、ガス自体は買い手がいくらでも見つかり、売れなくなる可能性は低いです。ただし、中国やインドあたりに足元を見られて、かなり安く買い叩かれるでしょうが。
すでにウクライナ侵攻は陸軍をすり潰して、NATO拡大と中国への依存強化という戦略的失敗を招きました。今度はアサド政権の崩壊につながり、中東・アフリカへの影響力を減衰させたあげく、トルコに頭が上がらなくなっています。
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