特別儀仗隊はイケメン?自衛隊の第302保安警務中隊とは

特別儀仗隊 陸上自衛隊
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歓迎の栄誉礼を行う

自衛隊の警務隊は「憲兵」にあたり、部隊内の規律維持が仕事ですが、一部は「儀仗隊」の役割も果たします。

儀仗隊とは賓客を出迎えたあと、彼らに「栄誉礼」という作法を行い、軍隊としての敬意を示す行為です。同じ自衛隊の将官クラス、あるいは政府高官、外国の訪問客を想定しており、現地部隊を代表して歓迎します。

最も有名なのが、外国の首脳級が来日したとき、皇居や首相官邸、迎賓館、防衛省で行う「特別儀仗」です。この重要な国家式典を担うべく、第302保安警務中隊から人員を選び、特別儀仗隊を編成します。

国賓などの来訪時に整然と並び、キビキビした動作を披露する、彼らがその特別儀仗隊です。

特別儀仗隊イギリス首相の歓迎(出典:首相官邸)

ただし、特別儀仗隊は臨時編成の部隊になり、普段は第302保安警務中隊にいます。そして、第302中隊は陸上自衛隊の警務隊であって、防衛省のある市ヶ谷駐屯地が拠点です。

中隊から選抜するとはいえ、中隊全体は約120名しかおらず、特別儀仗隊は101名で編成します。本部の管理要員を除くと、ほとんど全員が儀仗隊員として働き、「第302保安警務中隊≒特別儀仗隊」です。

なるための条件

自衛隊の代表どころか、日本国の「顔」になる以上、見栄えを重視せねばならず、統一感を出す必要があります。

それゆえ、選抜では身長170〜180cm、体重60〜75kgに限り、全体の均質性を整えました。また、容姿端麗という条件に基づき、必然的にイケメンばかりがそろい、メガネの着用すら不可です。外見での差別はよくないものの、こればかりは仕方ありません。

こうした見た目に加えて、強靭な体力と精神力が欠かせず、夏の炎天下であっても、真冬の寒空の下だろうと、長時間にわたって同じ姿勢を保ち、表情ひとつ変えてはいけません。

同じ自衛隊の式典関連でいえば、来賓の挨拶時に隊員たちが並ぶも、数十分も不動の姿勢をとるため、いつも体調不良者を出してきました。自衛官でさえ倒れるにもかかわらず、特別儀仗隊はポーカーフェイスで立ち、難なくこなす体力・精神力が求められます。

特別儀仗隊ミスは許されない(出典:防衛省)

そして、配属後はひたすら整列、式典動作の練習に励み、一糸乱れぬ動きが要求されます。それは「無限練習地獄」とも呼び、集団パフォーマンスになる以上、個人の技量とともに、周りに合わせる協調性が必須です。

全員が似た背格好を持ち、同時に同じ動きをする分、小さなミスが目立ってしまい、100%以外の完成度は許されません。一人前になるには5年近くかかり、伝統芸能における職人の域です。

その間は体型の維持・管理のほか、髪の長さを一定に保つべく、週1のペースで散髪します。

このような苦労はあれども、特別儀仗隊への選抜は最高の名誉にあたり、約13万人の陸上自衛官のうち、選ばれし者だけなれる存在です。自衛隊の精鋭と聞けば、特殊作戦群、第1空挺団が思い浮かぶも、特別儀仗隊も精鋭なのは変わらず、別の意味での特殊部隊といえます。

儀仗隊は複数ある

さて、特別儀仗隊はひとつしかなく、第302保安警務中隊が担うとはいえ、「儀仗隊」そのものは複数あります。

たとえば、陸上自衛隊には5個方面隊がありますが、それぞれに1個保安警務中隊が付き、各地の儀仗隊を担当してきました。第302中隊は特別儀仗隊を担い、日本の代表にはなるものの、東部方面隊の儀仗隊でもあって、5個ある保安警務中隊のひとつです。

したがって、北部方面隊に賓客が来ると、第301保安警務中隊(札幌)が、西部方面隊で歓迎式典を開く場合、第303保安警務中隊(健軍)の出番になります。

ところで、儀仗隊は式典で小銃を使いながら、捧げ銃などの敬礼を実施しますが、これは一般的な自動小銃ではなく、単発式で木製の「儀仗銃」です。

これはツヤの良さに加えて、取り回しやすくなっており、2019年に新しく登場しました。従来のM1ライフルに比べると、約550gは軽くなったとはいえ、それでも重さは3.75kg、長さは着剣時に1.36mにのぼり、素人にはとても扱いきれません。

ちなみに、小銃を振り回しながら、曲芸に近い行進演技をする、「ファンシー・ドリル」がありますが、これは防衛大学校の儀仗隊(部活)、海・航空自衛隊の航空学生などが披露しています。

一方、特別儀仗隊を含む通常の儀仗隊はせず、あくまで栄誉礼に専念してきました。

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